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序章
“いらない命"――なんて、この世に一つも存在しない――。
そんな風に説かれた道徳を無邪気に信じていたのは、いつ頃まで?
いかなる罪人と悪人――自我無き赤子も、認識無き老人も、意識無き肉体も、等しく"尊き命"だと――。
世界と日常にさりげなく蔓延る"差別的思考"を迷わず否定していたのは、いつ頃まで?
少なくとも、"私"は五歳の時点で常に揺らいでいた。
『すごいわね。あなたは本当に立派な"良い子"』
[それに比べて……]
生まれる前から"持つ者"と"持たぬ者"に分かれた僕達は、同じ天秤の上で共存していけるのか。答えは否だ。
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