お客1

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お客1

霧の夜 1人の女性がたどり着いたのは 木々に囲まれたレンガ造りの2階建て 看板には『眠れる森のカフェ』 カランとドアの上にあるベルがなる。 店内は70年代を思わせる純喫茶店みたい 正面にカウンター、右側には4人かけテーブルが3つ、左側には長いソファーとテーブルが3つ、右側の奥にジュークボックス ソファーの奥にトイレ カウンターの反対側はキッチン、黒髪オールバックの50代のマスターが賑やかに 「いらっしゃいませ。カウンターにどうぞ」 マスターの前、真ん中の椅子に座る女性は 20代前半 黒髪ロングヘアーで白い半袖のTシャツ、 青いジーパン、黒いスニーカー、バックなし手ぶらである。 「あの、私お金なくて……気が付いたらカフェ見付けて……」 「お金は大丈夫ですよ。何か飲みますか?」 マスターの左側でお皿洗ってたバイトの女性 こちらも20代前半、黒髪ショートヘア マスターもバイトも白い襟シャツ、黒いスラックスに黒いスニーカー、そしてブルーのエプロン 「私のおすすめの紅茶はいかがですか? 隠し味は2滴のブランデー」 明るいマスターがブランデーを見せる。 「は、はあ、お願いします」 しばらくするとホットの紅茶が出てきた。 「いただきます」 ほのかなブランデーの香りと紅茶の香りが混ざり、なんだか気分が落ち着く。 「静かですね」 女性は店内を見回す、お客は自分1人 「曲ならジュークボックスで選べますよ!」 バイトがジュークボックス指差す。 「えっ、使い方わからないから」 遠慮する女性 「騒がしい日常、繁華街の雑踏、液晶ディスプレイの声や曲、車のクラクション、満員電車、アナウンス、今は忘れてください」 マスターは賑やかにそう言って手作りクッキーを出した。 クッキーを食べ紅茶を飲む、店内に聞こえるのはコーヒー豆を引く音、洗い物する水の音 どこからともなく、1匹の黒猫がカウンターの上を歩いて女性に近づく 「こら、クロエ、カウンターに乗ったらダメでしょう?」 バイトに注意される黒猫クロエは無視して歩く 「可愛い、おいで」 女性はクロエの頭を撫でるとすり寄って来る ご機嫌のクロエ 「男の子?女の子?」 女性が聞くと 「僕はオスだよ2歳」 クロエが人の言葉を話し出した、驚き顔が強張る女性 「あ、ここは、夢、そう夢の世界だから、ね!だから、喋る猫がいるの!」 あたふた慌てながら説明するバイト 「あ、ああ、夢!そうよね、夢よね? 変だと思った、霧の夜にカフェがあるから」 納得した女性とバイトがクスッと笑った。
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