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「颯太。これがお前の従兄の彰だ」  おじいちゃんがそう言って僕に紹介してくれた。 「えっ」 「初めまして。部活が忙しくてなかなか会いに来られなくてごめんね」  従兄の彰兄ちゃんは高校一年生で、甲子園目指して野球を頑張っているんだと自己紹介してくれた。  それじゃあ、あれは誰だったの? 「颯太、着替えたら仏間に来い」  おじいちゃんはそう言うと、先に仏壇のある部屋へ入っていった。  僕が水着から普段着に着替えて仏間に入ると、おじいちゃんは仏壇に手を合わせていた。  その後ろに僕が正座すると、おじいちゃんは仏壇の引き出しから何かを取り出し振り向いた。そしてそれを僕の前に置いた。 「お前が会ったのは、この子か?」  それは古いモノクロ写真で、麦わら帽子を被りランニングに短パン姿の日に焼けた笑顔の男の子が写っていた。  僕が遊んでもらっていた彰兄ちゃんだった。 「うん、この子。この子が僕を助けてくれた彰兄ちゃんだよ」  僕が言うと、おじいちゃんは納得したと言うように肯いた。 「颯太、仏壇に参って、お礼を言え。助けてくれてありがとうって」 「え? どうして?」  僕はわけがわからなかった。
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