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4.
それからの二週間は楽しくて、あっという間に過ぎた。帰りはお父さんがおじいちゃん達の顔を見がてら迎えに来てくれることになっていて、それが明日になったと連絡があった。まだ帰りたくない気持ちだった。
その頃には僕は真っ黒に日焼けして、ビーサンで野山を駆け回るようになっていた。泳ぎも前より少し上手になった。皆、彰兄ちゃんや辰ちゃん、真ちゃんのおかげだった。
その日も一日遊んで解散するときに、明日の午後には東京に戻ると三人に告げると、彰兄ちゃんは少し残念そうな顔をした。
「明日からお盆だろ。俺は遊べないんだ。気をつけて帰れ。元気でな」
そうか……。明日はお盆の入りだった。お盆はそれぞれの家で行事があるのだろう。
今日で彰兄ちゃんと遊ぶのは最後だったのかと思うと、僕は無性に寂しくなった。
「また、会えるよね」
僕が聞く。
「ああ」
彰兄ちゃんが笑った。
「二人は親戚なんだから、そりゃ会えるだろ」と辰ちゃんも笑った。
「それに、僕たちは明日も遊べるぞ」と真ちゃんが言ってくれて、明日の午前中、辰ちゃんと三人で川遊びをすることになった。
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