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話はトントン拍子に進んだ。
梅雨の合間の青空には、半袖シャツの白がよく映える。伊倉のオレンジ頭も、相変わらず目にまぶしい。もうほとんど、気分は夏だ。
夏休み前の期末テストに備えて、中間がヤバかった俺らは補習の帰り。補習って普通、夏休み入ってからやるんじゃねーの?とか思いつつ、体制には逆らわないのがヤンキーとは違うところだ。
隣から鼻歌が聞こえる。イケメンのプライドにかけて、ライバルは視察しておかねばと思ったのだろうか。伊倉も乗り気なのには驚いた。
「カッコいいっつっても、俺らとは毛色がちげーんだろうな」
腰パン引きずりそうな勢いの伊倉が、格好だけはダルそうに歩いている。隣を歩く俺も合わせた歩調だけれど、気分はわりと上がり気味だ。
結局カラオケ行った女の子たちは、それぞれ俺たちに持ち帰られた。つっても、4人でそのままラブホ行って部屋の前で別れた体なんだけどな。恋人なはずの俺と伊倉が別々の部屋に入る光景に、首を傾げないではなかったけれど、女の子の柔らかいカラダを目の前にしたら、とりあえずうやむやは置いておこうと思えた。
うん、俺って根っからのヤリチンなのね。わかってたけど。
そんな彼女たちとは、向こうの校門前で待ち合わせている。他校のイケメンを引き連れて、校内を歩きたい気持ちもわからないでもない。
てか大丈夫なんだろうか。俺たちは揃って補習を受けた帰りだ。他校の制服は目立つんじゃないかな。そんな不安は、待ち合わせ場所ですぐに解消された。
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