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指先が、反射的に通話ボタンを押す。途端、電話の向こうから興奮気味に捲し立てる声が響いた。
「大阪の知り合いからの情報なんだけど、優君、私の友達の友達と浮気してるらしいよ!?」
「ど、どういうこと?」
突然の垂れ込みに混乱しながらも、頭の一部は妙に冷静だった。
どういうわけか、くつくつと可笑しみさえ込み上げてくる。
身を固める前の、火遊びというところだろう。
寄り道の誘惑は、至るところに転がっている。誰の足元にも。
私の進むべき道は、一体どっちだ。
複雑に交差する矢印に翻弄されて、私は途方に暮れていた。
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