空き地問題

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空き地問題

気になる 和真(かずま)の近所には昔からある問題があった。 それは空き家が多いことだ。この辺りは昔、林業が盛んで特に割箸を作るのがピンポイントで多くの人がこの街に暮らしていて繁栄をしていたとモノクロの映像がテレビのドキュメンタリーをやっていた。 和真(かずま)もテレビを見ていて幼心に昔は多くの人がこの街にいたのにも関わらず、今は空き家が多いのか全く分からなかった。産業とは何か、発展があるということは衰退もあるのかとふと感じた。 お父さんにその理由を尋ねた。 「ねぇ、どうして昔はこの街に多くの人がいたのに今は全然人がいないの?なんで?」 そう質問をしたがすぐに答えてはくれず、和真をパソコンのある部屋に連れて行った。 一緒に調べよう。今はすべて分からなくてもいいから分からないことは人に聞くよりも自分で調べた方が覚えるよと気になるワードを検索をする。 まず、気になるのは割箸は消費したらいいのか? ご飯屋さんに行くと必ずと言いほどあるのが箸。そもそも箸がなければ食べれないという現状があるが、最近では割箸が極端に減っている。 今度は割箸が減っている理由について再度検索をする。そこには驚くことが書かれていた。 農林水産省大臣が割箸を使うのは環境破壊に繋がるから割箸を使わずマイ箸を持参しようとの発言が書かれていた。 和真(かずま)はお父さんに尋ねた。 「この大臣って言う人の発言って合ってるの?ねぇ、教えて」 だが、お父さんは(かたく)なに答えを教えてはくれなかった。幼稚園児にそこまで求める必要があるのかと考えるのがイヤになってくる。 とはいえ、気になりだしたら止まらない。ここでパソコンを閉じるともっとモヤモヤして消化不良のような気がして再び検索をし直す。 よく、森林伐採は温暖化に繋がるから切らない方がいいと言うが必ずしもそうとも言いきれない理由がある。 それは長い年月の経った木々は腐食(ふしょく)してケガをすることもあれば虫や動物の生態系を守ることにも大事であるということ。 割箸は環境に悪いのかというところに行き着く。 結論から言えば、使い捨てだが木を切って環境破壊だと(なげ)く人もいる。だが、本来捨てるはずだった木の端材を使っているので環境にも優しいと言える。 和真(かずま)の割箸に関しての問題は解決をしたが、漢字ばかりで、内容が全く入ってこない。お父さんに意味を聞いて分かりやすく解説があってやっと分かるレベル。 何も教えてくれなかったお父さんは最後にこう言ってリビングに向かった。 「今はそれでいい。たとえ分からなくても自分で調べるということが大事。難しいことを書いてあるけどそこはお父さんやお母さんが噛み砕いて教えるからとにかく自分で調べるように」 果たして自分だけで疑問に思ったことを解決出来る日が果たしてくるのだろうか、和真(かずま)はずっとそう思って過ごしていた。
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