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小学校入学
入学式
桜が舞う中、スクールバスで家族とともに学校に向かう和真。そして初めての校門をくぐる。期待と不安を抱く中で貼られたクラス表を確認をしてクラスに向かう。どんな友達と巡り会えるのかな電車が好きなお友達と会えたらいいなと色々な感情を持って廊下を歩いていた。
周りを見渡すと同じ教室に入っていく子がいて、同じクラスになる子なのかと表情を見ると緊張して困って泣き出している子もいる程だ。
柚那ちゃんの時みたいに慰めてあげたりしてあげればいいが、和真自身も緊張しているためにそれどころではなかった。深呼吸して気分を落ち着かせることだけを考えていた。先生が入ってきて、簡単な自己紹介をして体育館に向かう。
入学式は数時間あったが終始緊張をしていて何も覚えていない。教科書や必要なものを持って家に帰った。
和真自身、他の子とは違うところがある。
それは柚那ちゃんがいるというアドバンテージがあると勝手に思っていた。途中で学校に来たとはいえ、勉強や学校のことは知っている。困ったら柚那ちゃんに相談しよう頼ろうと目論んでいた。許可も何ももらっていないにも関わらず。
家でゆっくりしていると呼鈴が鳴る。誰かとおもってトビラを開けると柚那ちゃんが何かを持ってやって来てとりあえず家に入ってもらう。
紙袋から取り出したのはクッキー。持ってきた理由を聞くと簡単だけど入学式のお祝いとして態々手作りクッキーを焼いて持ってきてくれたとのこと。
顔がかわいいのだけでなく、声はアニメに出てきそうなかわいい声で優しくて面倒見がよくてそればかりか入学式祝いに手作りクッキーって柚那ちゃんには欠点はないのかと聞きたくなるほど完璧な女の子と言える。
袋にはハートの形や星の形に象ったクッキーが何枚も入っていていい感じに塩加減が効いていて美味しい。自分のためにもらったクッキーとはいえ、クセになって何枚も手が伸びて無くなっていた。
するとお母さんに怒られた。
「柚那ちゃんが和真のために持ってきてくれたクッキーかも知れないけれど食べすぎ。柚那ちゃんが食べる分がないでしょ」
怒られてしょんぼりしている和真だった。
すると柚那ちゃんは小さな手で頭を撫でた。
「美味しいって言って沢山食べてくれて嬉しいよ、またいつでも作るから塩バタークッキー以外にもチョコクッキーでもなんでも作るよ」
そう笑顔で答えてくれた。
柚那ちゃんが帰った後、和真何かお返しをしてあげたい。お誕生日会を家でやりたいとお願いをした。
しかしお母さんから返ってきた答えはこうだ。
「それは全然いいよ。でも誕生日はいつ?平日だったら忙しいと思うからその時は土日にしてね」
確かにその通りだ。誕生日会をしたいと思っていて柚那ちゃんの誕生日を知らないことにその時に気づいた。
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