2人が本棚に入れています
本棚に追加
平泉に、ファンタジーもの?
何処かで頭打ってきたかな?
とにかく、私の傍で話をするその人の顔を見ようと私は必死に身動ぎする。
鉛のように体が重いと感じたのはその時。
変に動かない方が、体力が戻りやすいのかと思う。
「体が辛くはないのか?無理はせん方が良い。またゆっくり話もできよう」
────あぁ、疲れた。
でも、優しいな、この人。
そう思ったら、瞼が重くなった。
もう少し、此処にいたかったのに。
「そろそろ時が来たか。また会おう、玄神子」
そう言われた時、私の意識が飛んだ。
ふと、額に温かいものが置かれた感覚に、私は気が付いた。
ゆっくりと目を開けると、色白の細い指と、手が見えた。
「あら。目が覚めたのね」
女性の声が聞こえた。
龍姫とは違う声。
今の人の方が、少しだけ高いかな。
私がその声の主を目を動かして探していると、視界に人影が見えた。
とういうか、覗き込んで来た。
「大丈夫?」
「あ・・・すみません」
ずいぶん蚊が飛んでるような声だな。
自分の出した声だけど、自分でも呆れるほど。
「多少は、声を出せるようね。自分の名前は言えるかしら?」
「佐藤、華乃生」
途切れ途切れに言った。
体が重くて、ちゃんと頭が回らない。
自分の名前言うのもやっとなんて。
最初のコメントを投稿しよう!