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「あらあら」 「おいおい、無茶すんなよ。病み上がりが」 ふたりに呆れられたゎ・・・ 乙和様に手伝ってもらいながら、布団の中に戻る。 「ありがとうございます、乙和様」 「して、お前の名前は?」 「佐藤華乃生です」 「同じ姓氏か」 「そうなのよ。縁者かしら?」 「─⁠─⁠─⁠─⁠・・・・・」 笑うしかねぇ。 縁者も縁者だよ。 子孫だよ、あなた達の。 「そうだ。あー、華乃生。体調が戻ったら、お館様と父上が会いたいそうだ。早めに体調戻しておけよ」 「お館様?秀衡様ですか?」 「あぁ、そうだ。粗相の無いようにな」 って言われて血の気が引いた。 「謁見の仕方がわからない・・・」 引き攣った顔で言ったら、ふたりが顔を見合わせていた。 軽く自分でもびっくりするぐらい、声が上ずる。 「まぁ、変な格好で金色堂の傍で倒れていたんだからな。頭でも打って記憶喪失にでもなった可能性はあるだろうな」 「そうね。着物を着てないというのもおかしな話だけれど、気を失ってたってことは頭でも打った可能性があるし・・・」 いや違くて。 800年も900年も時代が違えば、生活環境も違うんだって。 でもそう言って信じてくれなさそうなんだけど・・・。 どうしよう。 この人たちには嘘吐きたくないんだよね。
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