<4000字以内で振り返る>これまでの魔法使いと繋がる世界

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(EP2~震災のピアニスト~)  凛翔学園(りんしょうがくえん)では各クラス毎に一つの部活動を行う。  本年度から樋坂浩二(ひさかこうじ)稗田知枝(ひえだちえ)のクラスの仲間入りをした真面目な性格で生徒会にも所属していたクラス委員長の八重塚羽月(やえづかはづき)。  羽月は浩二と二年生の三学期途中まで恋仲であったが今は別れ、一緒に演劇をするという心残りを果たすため担任と交渉し、計画的に演劇クラスである浩二と同じクラスに加入したのだった。  そんな演劇クラスに稗田知枝に続く形で新たな謎多き転校生、黒沢研二(くろさわけんじ)がやってくる。  海外で芸能活動を続ける大物の転校に沸く演劇クラスだったが、知枝は研二が魔法使いの事情にも詳しく、超能力を操る裏の一面に気付き、強い警戒心を持つことになるのだった。 「会いたかったよ、博士」 「あなたの芸能活動のことではありません、あなたは日本人で、日本人の母親を持っている。今、日本にやってきたことと、無関係とは思えませんね。それにあなたは……」 「この短い間にそれだけ調べ上げてくるとは、恐れ入った。さすがは稗田家の人間、いや、魔女の後継者ということか」  知枝は自分とプリミエールの情報網で黒沢研二が日本人の有名な画家の子どもであること、そして“絵空事(えそらごと)の魔術師”と表現される空中絵画を行う、画家エルガー・フランケンと同一人物であることを突き止める。  一方、黒沢研二は知枝が魔女の後継者であること、知枝の魔法使いとしての 能力にも熟知していることを告げ、敵か味方が分からない未知の相手であることを認識させるのだった。  部活会議の末、クラスメイトの総意により、今年も演劇クラスとして部活申請を行った羽月のクラスであったが、同じ演劇クラスを希望したのが他に2クラスあることから、合同演劇発表会で一クラスを選ぶ三つ巴の発表会を開催することに発展する。  かつて樋坂浩二と恋仲であったクラス委員長の羽月は演劇のための脚本を仕上げるため、再び浩二と同じ時を過ごすことになる。  脚本の題材選びを始めた浩二は羽月のアイディアで被災したピアニストが想い人と再会し、ピアノコンクール出場を目指し立ち上がっていく『震災のピアニスト』を舞台演劇で行うことに決め、脚本を仕上げるのだった。  稗田知枝と黒沢研二を主役に置き稽古が始まる演劇クラス。  それは短い準備期間の中で、話題性を引き換えにした大きな賭けだった。  各クラス約一か月間の準備期間を経て最後のリハーサルが行われるが、その合同演劇発表会前日に事件が起こる。  それが発覚したのは当日の朝だった。  なんと三クラスの内の一つ、四人組の地下アイドルグループを演目に据えた古典芸能研究部に所属するエリザが繫華街で襲われ重傷を負い、さらに同じクラスのリズが行方不明となり、棄権を余儀なくされてしまのだった。  さらに映画研究部の舞台が行われる中、控え室で映画研究部が圧巻の演技を披露するところを真剣な眼差しで見ていた知枝が、不審な男たちに誘拐されてしまう。 EP2終盤  控え室に突然やってきた不審な男に薬で眠らされた知枝。  意識を失い、マンションの一室で目を覚ました知枝は自分が誘拐されたことに気付く。  舞台本番の時間が迫る中、暴力を振るおうとする誘拐犯に対して拘束されたまま危機を感じ、反射的に超能力たる干渉力を発現させ、封印してきた魔法使いの力に頼ってしまい、誘拐犯たちを一度に気絶させてしまう。  秘密にしていた力を解放して人を傷つけてしまったことを悔やむ知枝。  そんな知枝を助けようと浩二と舞がやって来る。  魔法使いを自称する知枝はそこで自分の持つ長い修行を経て会得した超能力のことを知られてしまうのだった。  一難去ってまた一難、危機は続き黒幕であるチャン・ソンウンが現れ銃声が響き渡る波乱が巻き起こる。危機迫る中、最後は黒沢研二とプリミエールに助けられ騒動は終結する。  舞台の開始時間が迫る中、浩二と知枝が急いで公演会場へ向かう途中、知枝は浩二に自分が親戚であること、4年前に亡くなった浩二と真奈の両親の葬儀にも参列していたことを告げる。 「出来たらでいいんだけど、私のことはこれから、名前で呼んでくれたら嬉しいなって」  秘密にしていたことを話し、浩二と知枝の距離感がさらに近づく中、無事、舞台に間に合う形で全員揃うことができ、演劇クラスは演目”震災のピアニスト”が出来ることに。   「約束への一歩」 「やり遂げてくれるさ、後は信じよう」  浩二と羽月は舞台に上がるキャストを見守る。  そして、多くの観客が見守る中、舞台の幕が上げるのだった。  舞台演劇終盤、ピアノコンクール本選の演奏シーンを演じる知枝だったが停電が発生し、劇場が暗闇に包まれ録音していた音源も流せなくなってしまう。  予想外の事態に焦る知枝。    もうダメかと思ったその時、観客席から知枝に向けて小さな照明が照らされる。  小さな照明は連鎖的に多くの観客から向けられ、その機転に勇気をもらった知枝はそのままピアノコンクール本選のピアノ演奏を即興で演奏し、奇跡的に最悪の事態を乗り越えて、演劇は無事終了を迎えるのだった  そして、観客の投票の結果、浩二たちは演劇クラスとして、三年生最後の一年を演劇クラスとして活動を続けられることとなった。  その後、樋坂家に招待された知枝は以前真奈にテレパシー能力の伝授を始めていたこともあり、真奈に新しい魔法使いの修行を始める。  その途中、唐突に“自分が浩二の事を好きであると言い当てられてしまう” 「マナ分かるよ、ちえおねえちゃんは“おにいちゃんのことが好きなんだね”」  自覚症状のない浩二への“好き”という感情に気付かされた知枝は激しく動揺してしまうのだった。  一方、浩二に長年片想いしてきた隣近所で暮らす永弥音唯花(えみねゆいか)はその会話を扉越しに聞いてしまう。  このままでは知枝と浩二が付き合うことになるという危機感に迫られ、唯花は早急に浩二へ告白する勇気を迫られることとなるのだった。  そして、それぞれの想いが揺れ動く中、物語はエピソード3へと続いていく。037a2bc4-df73-44d2-8205-a2926218dccd ※EP2本編の中では八重塚羽月(やえづかはづき)樋坂浩二(ひさかこうじ)が2年生の学園祭シーズンに出会い、告白し、交際の日々と切ない別れまで克明に描かれています。こちらは本編、またはスピンオフ小説『秋桜(こすもす)のペアリング』をご覧ください。 ※稗田知枝と黒沢研二が主役を務める震災のピアニストですが、本編のみならず”小説”震災のピアニストとして新しく生まれ変わり長編小説として連載しております。ぜひ一度ご覧ください。
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