【1章】叩きのお仕事

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マンションを出たところでシュン達はバラバラになった。 シュンは覆面マスクを取り、リカを引き連れて少し離れた場所でタクシーを止めた。 シュンが先に乗り、リカがそれに続いた。 「六本木方面向かってください」 ドアが閉まり、タクシーは発車した。 「いやー、リカちゃんお疲れっしたー」 シュンはホッとした顔で言った。 「もうー、シュン君が見せてくるセリフのカンペ、字が汚すぎて吹きそうになっちゃった」 リカはケラケラ笑っている。 「ごめんごめん、寸前に急いで書いちゃったから」 「それよりあのゴツい彼、ほんとにあたしのこと蹴るのかと思ったよ」 「あいつは誰にでも高圧的だからさ、ごめんね」 シュンはおもちゃのナイフを出したり引っ込めたりしている。 「まあ…結局あたしの被害は最初にシュン君に突き飛ばされた時にあいつと顔の距離がほぼゼロ距離になったことかな」 「それはマジでごめん!」 シュンは申し訳なさそうに謝った。
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