【1章】叩きのお仕事

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「ウケんのがさ、店では散々オラオラして偉そうにしてたくせに、あたしが目覚ましたらベットの下で正座してこっち見てたの」 リカはケラケラ笑っている。 「なんだそれ、童貞かよ」 シュンも釣られて笑った。 「そん時に何回も金庫開けたり閉めたりしてたけど、多分、金持ってますよアピールだったのかなーって」 「ふむふむ、そういうことね」 「そっから毎日電話とメール凄くて、返信遅いと怒るし、他の客と被ると期限悪くなるし」 「まあ切りたい客候補だったって訳ね」 「うん。でもいざあんなヒヨってる姿見ちゃったらやっぱり少しは可哀そうだなーって思うよね」 「同情されるべき人種じゃないけどね…」 「うん」 「それ言い出すと、俺たちもなんだけどね」 「…この話やめよっか」 2人が話し込んでいる間にタクシーからは六本木交差点が見えていた。 「この辺で停めてください」
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