【1章】叩きのお仕事

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路地を出た所にタクシーが停まると、いかにもキャバ嬢という雰囲気の女が降りてきた。 タクシーが出発すると女は目の前のマンションに入って行く。 少し距離を空けてシュンたちはそれに続いた。 築20年以上は経っていそうなレンガ調のマンションのエントランスに守衛がいないことを確認すると、シュンは右手にナイフを持ち、女との距離を詰めた。 「えっ‥」 女は自分の背中に当たる【何か】に気付き固まる。 「大丈夫、大丈夫、普通に客のとこに来たキャバ嬢って感じでピンポン押しなよ」 女は唾をゴクリと飲み込み、部屋番号を打ち込み呼ぶボタンを押した。 ピンポーン 「はい」 野太い声が聞こえる。 「あっ…リカだけど」 「リカちゃーん、待っとったでぇ~」 野太い声が甘えた声に変わる。 エントランスが開くと、リカと名乗る女を先頭にナイフを突き立てたシュンと黒ずくめの仲間二人が続く。 エレベーターに乗り、リカが6階のボタンを押す。
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