33人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
細長いテーブルに米やおかず、スープなどが所狭しと並ぶ。
小学生低学年から高学年、さっきまでミット打ちをしていた数人も食卓に座った。
ユウスケはみんなの顔をぐるりと見回した。
「よし、今日はテンシン」
テンシンと呼ばれた金髪坊主の少年は手を合わせた。
「それでは手を合わせて、いただきまーす!」
『いただきます』
すると子供達はすごい勢いで食事を口に運んだ。
「今日はいい肉入れてるからみんなどんどん食えよ」
シュンもおかずを口に運んだ。
「!?!?!?」
衝撃の美味さだった。
「おま‥こんな美味いもん無料で出してんの!?高級街中華じゃねーかよ!」
シュンはユウスケの作る料理に感動した。
「いや、お前らは金払えよ」
ユウスケは少しだけ笑った。
「払う払う、全然金置いて行くわ」
シュンは嬉しそうに言った。
「昔の俺からじゃ考えられねーかもしんないけどさ、俺は今の生活結構気に入ってんだ。一人で育ててくれたかーちゃんももう死んで、身内もいねーし、俺の若い頃にはこの辺なんてロクな大人いなかったし、今の若い奴らが昔の俺らみたいにならないよう、誰かが受け皿になってやんなきゃって思ってさ」
シュンとサトルはユウスケの話に真剣に耳を傾けた。
最初のコメントを投稿しよう!