【1章】叩きのお仕事

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男は何も見えない上に今の一撃で完全にパニックになっていた。 視界はゼロ。 シュンたちの声と物音全てが恐怖となった。 男の頭には、いかに金を取られず自分が無事にこの状況を抜け出すか、それしかなかった。 さっきまでキャバクラで楽しく飲んでいたことも、アフターでリカを家に呼んでいたことももう思い出す余裕はない。 それどころか、吹っ飛ばされたリカを心配する余裕もなかった。 袋の向こうにいる男たちが次に何を言うのか? それが怖くて仕方なかった。 「とりあえずあれか、道具使った方が手っ取り早く番号言うかな?」 シュンの声が聞こえ、それに対して想像を膨らましてしまう。 『道具…!?なんやそれ、ナイフか何かで刺されんのか!?』 「道具の前に女いるんだからこいつからいたぶろうぜ」 筋肉質な仲間がえげつないことを言う。 『女から…?あっ…リカちゃん!!!』 「ちょ…ちょっと、あたしはかんけ」 「うるせぇ」 ドン!バタン!! 「きゃあぁ!!」
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