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「……可愛いね……」
いやいやいやいや、なんで今日もいるの!!
「プライベートの赤音も可愛いね……」
だからそれ怖いっ…………待って?
"プライベートの赤音も可愛いね"? 佐竹さんは人通りの多いところを通れって言ったとき、こんなことも言っていた。『まだデビューしたてなので、プライベートの姿を誰も知らないでしょう』、と。たしかに、すぐ隣をすれ違う人は、私を有栖川赤音と気付いていない。散々テレビで見てるはずなのに。散々ネットで見かけているはずなのに。なのに……
デビューしたてで誰もプライベートの有栖川赤音を知らないのに、なんでストーカーはプライベートの私を「有栖川赤音」って分かったの?
「赤音……」
背筋がゾッとした。そう考えると、ストーカーの正体は、プライベートの私を知っている人。ただのファンではない。もっと、ちゃんと「赤音」と認識していて……そして家も知っている……
まさか。
「あたしたち、しばらく会えなかったね……」
商店街を抜け、人通りが少なくなる。
「寂しかった……ずっと何してるんだろって思ってた……」
後ろの足音が大きくなる。
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