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その頃の光景が目に浮かぶ。たしかにそんなことがあった。「可愛いだけで調子乗んな」とか、「いいよね、可愛いって」とか、散々言われた。だから私はそのときから、謙虚にいようと決めていた。だけど、そんなときでも理央ちゃんは、私に寄り添ってくれた。「気にすんな」って。「あいつらは心がブサイクだから間に受けんな」って。
「あたしはそれだけが生きがいだった。可愛い赤音の友達。赤音があたしを頼る。そうすれば、あたしの存在価値が守られるでしょ?」
理央ちゃん……
「おととい会えて、とても嬉しかった。楽しかった。……なのに……それなのに……」
理央ちゃんはマスクを取る。
「恋愛ドラマ……? どこの誰かと分からないやつと、恋愛?」
「ちょ、理央ちゃん……」
顔を伏せながら、歩み寄ってくる。
「幼馴染のあたしには会う期間空けたのに、よく分からないヤツとは、イチャイチャ?」
「待っ……待って!」
「そうだ……言い忘れてた……」
そう言うと理央ちゃんは、ふっと顔を上げた。
「幼馴染として! また会えたね、赤音!!」
なんと右手からナイフを取り出し、襲い掛かってきた!
「イヤアアアアアアアア!!!」
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