会いに行くよ

12/14
前へ
/14ページ
次へ
 その頃の光景が目に浮かぶ。たしかにそんなことがあった。「可愛いだけで調子乗んな」とか、「いいよね、可愛いって」とか、散々言われた。だから私はそのときから、謙虚にいようと決めていた。だけど、そんなときでも理央ちゃんは、私に寄り添ってくれた。「気にすんな」って。「あいつらは心がブサイクだから間に受けんな」って。 「あたしはそれだけが生きがいだった。可愛い赤音の友達。赤音があたしを頼る。そうすれば、あたしの存在価値が守られるでしょ?」  理央ちゃん…… 「おととい会えて、とても嬉しかった。楽しかった。……なのに……それなのに……」  理央ちゃんはマスクを取る。 「恋愛ドラマ……? どこの誰かと分からないやつと、恋愛?」 「ちょ、理央ちゃん……」  顔を伏せながら、歩み寄ってくる。 「幼馴染のあたしには会う期間空けたのに、よく分からないヤツとは、イチャイチャ?」 「待っ……待って!」 「そうだ……言い忘れてた……」  そう言うと理央ちゃんは、ふっと顔を上げた。 「幼馴染として! また会えたね、赤音!!」  なんと右手からナイフを取り出し、襲い掛かってきた! 「イヤアアアアアアアア!!!」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加