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「えっ……それは……まずいかもしれませんね」
ひぇっ……
「共演している俳優に嫉妬しているかもしれませんし……あなたにも危険が迫っています」
「ど、どうしましょう……」
「…………ガードマンの方を呼んでいます。明日には来ます」
「明日!」
「はい。なので、今日は! 人通りの多いところを、ちゃんと! 通って帰ってください!!」
わぁ! 佐竹さん今までにないぐらいの迫力ある顔してる!!
「はい! ごめんなさいでした!!!」
というわけで、今度こそ私は人通りの多い商店街を通った。結構人が多い。すぐ隣を人が通ったりするけど、私のプライベートの姿は誰も分からない。誰も、私をあの「有栖川赤音」とは思わない。うん、これなら大丈夫!
「あとは家までまっすぐ行けば……」
……なんだか、うっすらと聞き覚えのある声がする。ふと後ろを振り向く。
「…………え?」
…………いる。今日もいる。キャップにサングラス、マスク、コートを着た人が、いる!
「待って待って、嘘でしょ」
でもここは人通りが多い。手は出せない。出せないけど……近づいたら近づいたらで、何をされるか分からない。私はまた早歩きをする。
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