最期のお別れ

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最期のお別れ

 今回も心霊的な話。  2017年の話です。  一月、お正月を過ぎて間もなく、飼っていた犬(二代目)が八歳で亡くなりました。  保健所で殺処分寸前だったところを引き取った子(一歳ぐらい?)で、最初の一年は怯えて過ごしてなかなか懐かない子でした。  慣れてきたあとは比較的懐いてくれたのですが、野良犬時代に人間に虐められた恐怖や不信感があるからか、よしよししていても、「う~~~」と唸りながらなんですよね。  でも喜んでいるんです(笑)。  頭ポンポンが終わると、「う~~~」と唸りながら「もっと撫でろ」とねだってくるような子でした。  和犬みたいに耳が立っていて、でも洋犬みたいな体つきで、スラッと脚が長い美人さんでした。  引き取ってきた時からお腹を下しがちで、野良犬時代に蹴られたからか、股関節も悪い子でした。  そういうのもあって、短命だったというのもあると思います。  ある日急に調子を崩して、数日後に立てなくなってその日のうちに……でした。  愛犬家さんの中には、色んなタイプがいると思います。  どんな飼い方をしていても、その人にとっては大事な家族で、その人は愛犬家です。  自分の生活より犬の体調を気にして、何より犬を優先する人もいます。  我が家は勿論犬を愛していましたが、あとから世の中の愛犬家さんを見て「我が家は淡泊なほうなのかな?」と感じたのですが、「人は人、犬は犬」という考え方でした。  親戚の叔母さんは、亡くなったチワワのお骨を家に置いていましたが、うちはそういう感じではなかったのですよね。  一代目の犬は仔犬の頃に譲って頂いた子で、その子も二代目の子も、市の火葬場でお別れしてきました。  遺灰は、その施設にお任せする形で。  凄く愛情深く犬を飼っている方々を知っているので、うちは淡泊なのかな? と思いますが、よそはよそ、うちはうちなのですよね。  それはいいとして、二代目の子ともお別れしてきました。  犬とお別れした二、三日後、不可解な出来事がありました。  夜に寝ていて、寝る前は横向きになったりゴロゴロしているのですが、大体落ち着いたあとは仰向けになって寝ています。  少し口が開いていたのか、その時、熟睡していた口に「フッ……」と冷たい息を掛けられました。  びっくりして目覚めて、でも霊的なものだったら怖いから、起きたと思わせないために目は閉じたままでした。  耳を澄ましても、勿論なんの気配もしません。  緊張してドキドキしながらジッとしていて、……そのうちまた眠りました。  そんな事が、数日後にも起こりました。  あとになってから、「犬がお別れにきたのかな」と思い、目を開けて名前を呼んであげたら良かったのかと思うなど。  家族は亡くなった直後、犬が「クゥーン……」ととても悲しそうに泣いている声を聞いたと言っていました。  居間の上にある部屋が空き部屋で、空きベッド(人間の)にいつも犬が座って孤独を楽しんでいたのですが、居間にいると上から物音がしたり。  分からないけれど、別れを惜しんでいたのかなと思いました。  人間に比べて、ペットの霊は割とすぐに消えると聞きます。  余計な未練やら恨みとか抱かないからでしょうか。  その後少ししたあと、家からは二代目犬の気配が消えました。  もし生まれ変わりがあるなら、彼女が幸せな生まれ変わりをしていますように、なんてたまに考えます。  現在は、去年の十月末にミニチュアダックスフンドの男の子をお迎えしまして、毎日騒がしく生きています。  昨今、ペットショップからのお迎えはどうの……と言われていますし、本当は殺処分になる子を救いたいという気持ちはありました。  でも二代目の子を飼って、心に傷のある子を迎えるのは、相当な体力と根気強さが必要だなと痛感しました。  あとはシンプルに、私の肩の腱が切れていて、あまり力の強い子だと散歩がしんどいのもあり、小型犬がいいねという事で。  ●モティーとか張り付いて見ていた時期もあったんですが、皆小型犬の仔犬って狙ってて人気が高いのですよね。  どうせお世話するのにお金を掛けるなら、最初からお店でお迎えしても一緒か。と思ってお店に赴いた流れです。  もう、今の子可愛いですね。  仔犬からお世話をするのは本当に久しぶりで(一代目以来)、この世界に自分に害を為す存在がいると知らない子なんです。  皆が自分を好きだと思っていて、めちゃくちゃ人なつこくて。  二代目の子は、頭を撫でようとすると、叩かれると思って目を閉じてしまう子でした。  でも三代目のミニチュアダックスは、何をしても全身全霊で喜んでくれて。  ああ、この子を愛せて良かったなと、とても思えています。  勿論、一代目も、二代目も、三代目も皆大切です。 (一代目は十八歳に老衰するまで生きました)  犬もそれぞれの個性があるなぁ、と思い、早死にしてしまった二代目の分も、今の子を大切にしようと思っています。  2023年5月22日(月)
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