89人が本棚に入れています
本棚に追加
文章を書く上で気をつけている事
今回は文字書きらしく、文章を書く上で気をつけている事など。
デビュー当時はとにかく使える漢字は使って、ページを開いた時のパッと見が黒い感じでした。
行も詰め詰めで、一行の文字量が多くて、3~5行にわたっていたりとか。
数年をかけて編集さまにご指導を受けて、少しずつ改善していき、お陰様でレビューで「読みやすい」と書いていただけるようにはなりました。
まだまだとは思っていますが、物語を追っていくのに、ストレスなくスルスル読めるというのは、ある程度大事かなと思っています。
でも少し特徴のある文体でも、面白ければヒットしますので、売れる売れないの問題ではないと思っています。
ただの自己満足の世界。
(ずっと昔に映画化したパニックホラー系の作品については、割と有名なお話かもしれません)
最初のうちは、頭に浮かんだ事をとにかくつらつら書いて……という書き方で、頭の中にあるイメージを一生懸命言葉にしようとしているけれど、一文の中に情報がとっちらかっている感じでした。
国語的な事を言おうとしても、それほど詳しい訳ではないのですが、一文の中に主語が幾つもあったり、言葉が何にかかっているのか混乱しているような印象があったと思います。
担当さまの赤文字(原稿をチェックしていただいた時、赤ペンでチェックが入っているので、『赤文字が入る』という表現をしています)で「この文を二つに分ける」などのご指摘があり、少しずつ直していきました。
(赤文字は気になったところを書く程度で、作家に「こうしろ」と絶対的に命令するものではありません。表現を変える時も『●●トカ?』など、あくまで提案として書いてくださっています)
そして現在落ち着いているのが、40字×32~34行の設定で、一文は長くても3行以内には、大体1~2行には収めるようにしています。
単行本作業などで規程のページ数に収めるため、行を削らないといけない時は、「。」で一文が終わって、本当はここで改行したいなというところでも、詰めちゃったりしています。
あとは漢字を閉じる(漢字にする)、開く(平仮名にする)がありますが、一番やりやすいのは、その点は作家の表現に任せるというレーベルさんのやり方ですが、所によってはレーベルで決まっている通り、「こと」「わかる」などをすべて開いて統一させる所があります。
(私、『わかる』を『分かる』と表現する癖がついていまして……)
自分としては、ずっと平仮名が続いていると、それもそれで読みづらいなと感じるので、ある程度、適度に漢字がある文章にしています。
逆に漢字が続く時は、他の箇所では閉じていても、あえて開いて表現するなども。
※ 今朱里は~
※ いま朱里は~
でも基本的にこういう部分は作家の好み、その人なりのこだわりだと思っているので、個人的に強制的に漢字表現を統一するやり方は好きではなかったりします。
上記の通り、平仮名ばっかりだと読みづらいと思っているとか、その人なりのこだわりがあって、ベストな表現があると思うので。
こういうふうに原稿を直していく機会を重ねつつ、デビュー当初はなんでも漢字にしていた癖が抜けて、いい意味で抜け感というかがついた気がします。
漢字は知ってるけど、あえて平仮名にする事で、読みやすくなったんじゃないかな……など。
あと、Rシーンについては、以前に某レーベルの担当さまに「性描写になると、急に難しい漢字を使いたがる作家さんが多い」と言われてザクッときたのですが(笑)、TL小説において大切なシーンだと思うので、想像力をかき立てる言葉を使うのは悪い事ではない、と個人的には思っています。
でも自分なりにこだわりはあって、一般的には「快楽」というものを「淫悦」とか「悦楽」とか表現する事がありますが、漢字を見て意味がすぐ分かる言葉なら、普通は使わない言葉であっても積極的に使っていっていいんじゃないかなと思っています。
逆に、乳嘴(乳首)乳暈(乳輪)などは、前後の文で意味は分かるだろうけれど、単体だと意味分かるかな? どうかな? と思う言葉は、一時期は使っていたのですが、最近は分かりやすさを重視して、あまり使わないようにしています。
「小説は難しい言葉を使ってこそ」、と思う作家さんもいらっしゃいます。
それは挑戦的でとても良いことだと思います。
読者さまの中にも、「知らない言葉が出てくると調べる楽しみがある」と仰る方がいるので。
でも私は冒頭に書いたように、スルスルとストレスフリーで読めて、物語に没入してほしいと考えるタイプなので、読んでいて「これってどういう意味?」と引っ掛かる箇所をなるべく作らないようにしたいなと思っている派です。
これは漢字の開く閉じると同じで、その人なりのお作法なので、善し悪しの話ではありません。
ただ、物語がじっとりと湿っぽい、和風のダークシリアスとかだと、雰囲気を重視してそれっぽい漢字表現を使う事はあります。ケースバイケース。
あと、編集さまに教えていただき、文章のチェック(推敲)をしている途中で、同じ言葉が続いていないかは気をつけるようになりました。
たとえば主人公の「不安」を表現するくだりがあったとして、それを表す言葉が続いていくと思うのですが、なるべく近い行の中に「不安」という同じ単語が続かないように、他の表現に置き換えるようにしています。
そうするとスルスルと読める文になる……、と思っています。
読んでいて、同じ単語が頻繁に続くと、一本の麺の中に結び目ができるように、喉で引っ掛かると思うのですよね。
読みながら頭の中で文字を消化していって、そこが引っ掛かるというか。
気にしない方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう箇所を直すようご指導いただいたので、気をつけるようにしています。
あとは文末が「~た。」「~る。」を交互に使うようにするとか。
これも上記と同じで、読んで頭の中で文章を消化している時、同じ音が続くと引っかかりというか、気になってしまう感じがありますので。
回想シーンとか過去編だと、「~た。」がとても多くなるのですが、なんとか重ならないように努力したい……と思っています。
同様に、特にヒストリカルにおいて、長めのカタカナの名前をなるべく頻出させず、「彼、彼女」とか肩書きで書くとか、名前の頻出を防ぐようにしています。
あとは私だけかもしれませんが、主語がちゃんと意図する通りに着地していなかったり、Aについて書き始めたのに途中からBが主語になっているとかもあったので、読み直す時に気をつけてチェックするようにしています。
日本語、難しい……。
あとは特にお仕事原稿については、設定とかサブキャラの名前、年齢などがこんがらからないように、キャラ表は作るようにしています。
============
例)
■マデリンヌ・ナマエ・ナガーイノ・クルルッポ(18)
・金髪、ブルーアイ(アクアマリンのような色)
・トアル国アノヒノ伯爵令嬢(長女)
・父アヒル(50)、母アメリカン(47)、兄オーソドックス(24)、弟1ポウ(17)、妹ナツ(16)、弟2ピカ(14)
・性格~
・生い立ち~
・ヒーローとの関係~
※ 固有名詞はすべて適当です
=============
こんな感じで書き留めて、物語を書いているうちに何歳で何があったとか、複雑になりそうだったら、エクセルで年表を作るようにしています。
作中で「●年前に二人は出会った」とかもあるので、その●年前の部分も明記するようにしています。
でも算数が苦手なので、時々ナチュラルに間違えちゃいます(笑)
電卓使ってるんですけどね!
そして、こういうキャラ表をプリントアウトして、手元ですぐ確認できるようにしています。
web小説の時は、よほど込み入らないとこういうのは作っていないのですが、代わりに文章の最新部の後ろに、上記のような設定を書き留めておいて、書きながら確認できるようにしています。
(キャラの数が多く設定が多いと、恐ろしい長さに……)
他にもまだ色々あるんですが、文章の書き方じゃない分野まで長く語りそうなので、この辺りで。
仕事しろ!
2024年7月17日(水)
最初のコメントを投稿しよう!