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AIイラストについての所感
昨今話題になっている事と、自分がweb小説の表紙に取り入れたこともあり、思う所を書きたいと思います。
はじめに、私は著作権を専門にしている弁護士の先生と顧問弁護士の契約を結んでいます。
その先生にお話をお聞きした事と、Twitterでフォローしている弁護士さんの意見も踏まえたものが、私の意見、主張となります。
先に結論として申し上げますと、
・現行、日本の法律ではネット上にある画像を学習する事は禁じられていない。
・生成されたAIイラストをグーグルレンズ等で確認し、明らかに類似したものがない限り、その生成されたAIイラストは何者かの著作権を侵害したとは言えない。
(その類似についても、キャラが接近している、顔の角度が似ている程度では、著作権侵害にならないと思っています)
・生成されたAIイラストには著作権はない。
……という事を、弁護士さんの意見のもと考えています。
昨今、常に炎上していると言っていい状態ですので、慎重に扱わないといけない気持ちは分かります。
ですが、AIイラストを見ただけで、そのものを悪として糾弾し、叩く意見もまた極端なのではと思っています。
時々SNSでクリエイターの方が、自分の作品をまるっとAIの素材にされ、生成されたものを自分の作品として、第三者が発表、売買しているという被害を訴えられています。
これは完全にアウトだと思っていますし、クリエイターの方々の作品は保護されるべきと思っています。
いっぽうで、私は自分でもイラストを描いていますが、自分の描いたイラストについては、上記のようなまるごとAIに学習させる以外であれば、ネット上において断片的に学習される事はやむなしと思っています。
臣桜の名前で商業活動をしていまして、自分のPNでエゴサーチをすればGoogle画像検索に許可した覚えのない私的な写真やイラスト、宣伝のために作った画像がヒットします。
そういうものはもう、コントロールが利かないと感じています。
ネット上にあるものをスクリーンショットする、保存するの行為が禁止されない限り、上記の現象は止まる事はありません。
一方で、自分自身も参考画像としてネット上の画像をローカル保存する事はあるので、そのものを禁止すべきとも考えていません。
一個人がPCやスマホでどういう使い方をするか、他者や国が制御する事など不可能です。
法律で禁じられたとしても、その法律の存在を知らない人は大勢いるでしょうし、禁止されていると分かってもしてしまう人はいます。
結論として、無断転載はなくなりません。
(これは完全に著作権侵害ですが)
SNSでも、たとえばTwitter(X)では投稿した画像はTwitter(X)がAIの学習のために利用する事を許可するものとする、という文言があったような気がします。
一時話題になったような……。
そういう規約は、Twitter(X)だけでなく、どこのSNSでもネットサービスでもあるかと思います。
なので現状、ネットに画像を投稿するだけで、学習する事を許可している状況になります。
学習されたくなかったら、ネットにイラストを投稿しない。この結論しかなくなります。
ネットは日本だけのものでなく世界に繋がっています。
ポンと投稿したものが世界中にまわり、知らない人が保存したり再利用したりなどをコントロールする術はありません。
仮想通貨のドージコインのアイコンになっている、柴犬のかぼすちゃんの写真も、飼い主さんの知らないところで大ヒットして、最終的にNFTとして販売するに至りました。
こういう世界なので、イラストレーターさんがSNSのプロフィールに「学習禁止」と書かれても、ほぼ意味がないのでは……と感じている所存です。
別の話では、いつも決まったところにサインを描いているイラストレーターさんのイラストが学習されると、生成AIイラストに、どうしても同じ場所にサインとおぼしき模様が出てくるという話も聞きました。
私はいつもイラストをネット上に投稿する時、画像全体に薄い透かしで自分のサインをびっしりと載せ、一部分にくっきりとしたサインをポンと載せています。
その状態でも学習されるなら、まーしょうがないか! と思っています。
今はガラケーからスマホになったように、技術の過渡期にあるから、新しいものに人々は不安を感じ、反発を抱いていると思います。
学習もとのイラストに収益がが発生するとか、特定のものを学習させないとか、細かな決まりができたらクリエイターの方々もある程度納得するのではと感じますが、技術的にとても難しく感じます。
私は自分でイラストを描きますが、生成AIイラストも使用していますし、文章も書きます。
その上で総合的に、商業作品については、出版社さんがイラストレーターさん、漫画家さんに依頼をするので、出版社さんがAIを起用するという事にならない限り、プロの方のお仕事がなくなるとは思っていません。
またAIで小説も書け、投稿されている方もいますが、私は自分の書く文章に価値があると思っていますし、自分の作品だから読んでくださる方がいると信じています。
上記に書いた通り、イラストレーターさんのお仕事がなくならないと思っているように、自分の文章はAIなぞに奪われないと確信しています。
ずっと前、チラッととある方の小説を読んだ時、私がよく書く、ちょっと独特な表現ととてもよく似た表現がありました。
そういう事はたびたびあります。
でもいちいち目くじらを立てて「自分の表現を使われた!」なんて声を上げるつもりはありません。
言葉も絵も、昔から存在していて、私たちは先人の表現をなぞって自分のオリジナリティを加え、独自の作風となっている……と感じています。
イラストレーターさん、漫画家さんだって、練習する間に影響を受けた方、作品があると思います。
文章でもまた、影響を受けた作品はあるでしょうし、沢山ある言葉、表現の中で、自分だけの唯一無二の表現なんてあり得ません。そうなったら新しい造語ですね。
模倣し、模倣されて新しい作品ができていくと思っています。
そりゃあ、不当に自分の要素を八割以上奪われて「自分の作品」と言われたら腹が立つのは分かります。
けど、断片的に学習して取り入れていく事は否定していません。
また、著作権はアイデアは保護しません。
大ヒットした某作品のように、人類が巨人に襲われる作品を誰かが作ったとしても、それは著作権侵害にはなりません。
婚約破棄も悪役令嬢も、転生も、大富豪もCEOも社長もモブ令嬢も何もかもです。
イラストが類似していると告発する例をネットでたまに見ますが、絵を描く時って手癖があります。
何百回、何千回と描いているうちに、同じ輪郭、シルエットを描くようになります。
文章にもまたクセがあります。
なので、ただ「似てる」と思っただけでパクリ、盗作と声を上げるのは安直すぎます。
話は戻り、AIなぞにと言いましたが、良い技術だと思っています。
まったく絵心のない方が気軽にイメージの翼を広げられるのですから、とても進化したなとポジティブに捉えています。
要は、使う側が「自分は(本当の意味での)クリエイターになれた!」と思い込まない事が肝心かな……と。
その思い込みが悲劇を生んでいると思うので……。
AIで作られたネイルデザインやドレスなどをインスタで目にしますが、素敵なデザインだと思います。
それを仕事とするかどうかは、クライアント側の判断だと思いますし、AIで作られたものに価値はないと思われる方はそのままでいいと思います。
私がweb小説の表紙にAIを利用したのは、もともと自分でイラストを描いていましたが、時間が経つにつれて古い絵を見るのがしんどくなってきたのが一番の理由です。
表紙イラストがなくてもヒットしているweb小説はあります。
でも私のようなあまり読まれない作家は、表紙を利用して少しでも目に留まったら……と考えてしまいます。
イラストを自分で描き直せばいいのでしょうけれど、時間がなく、本質となるものは自分で書いた小説なので、目印となる表紙は問題のない使い方をする程度でなら、アリなのではと思った次第です。
その根拠は、冒頭に書いたような弁護士さんの見解がベースになっています。
「AIイラストはやめたほうがいい」という声もありますが、弁護士さんにお聞きした上で問題のない範囲で使い、小説投稿サイトでもしも禁止されたら下げる……という考え方です。
ネット上ではとても否定的でネガティブな声が多いですが、炎上しているものに感情を触発され、つられてネガティブになっている方も多いように感じられます。
色々書きましたが、私は弁護士ではないのでこれがすべて正解だとは思わないでください。
弁護士さんにweb小説の表紙についてご意見はお聞きしましたが、あとの駄文についてはただの一個人の考え方です。
なかなか纏まりませんが、以上です。
2024年2月19日(月)
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