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「地下って、何がある場所なの?」
「地下には使用人の人たちが、作業する部屋があるんだ」
ジェーンが問いかけた内容に、ルトガーはすぐに答えた。
「結構広いんだよ。調理場に、洗い場、それぞれの部屋もあるし、皆で食事する場所もある」
「樽があるところも?」
「それって、お酒の置いてある貯蔵庫のこと?」
そう聞かれるが、ジェーンは曖昧に頷くことしか出来ない。
夢でみた光景なので、あそこが酒の貯蔵庫である核心はなかった。
「気になるの?」
「……ちょっとだけ」
「うーん……そっか」
ジェーンの返答に、ルトガーは難しい顔をする。
けれどルトガーの話のおかげで、夢で見た屋敷が、そうとうお金持ちの家であることが分かった。
もしかしたら貴族の家かもしれない。
「不思議な夢だった……」
「貯蔵庫の奥に隠し部屋があるのって、なにか意味があるのかな?」
「ただの夢だとは思うけど、こういう夢にもヒントがあるのかもしれないね」
そう言うと、ルトガーがパッと顔色を明るくした。
「せっかくだから、僕たちの家でも探してみる?」
「え、ここの地下を?」
「言われてみると地下は探したことなかったし、あまり入ったことなかったから、正直考えもしなかったよ」
どうやらルトガーのヤル気に、火を点けてしまったようだ。
そういったつもりはなかったのだが、楽しそうに笑うルトガーを見ていると、ジェーンも少し嬉しくなる。
「ジェーンもいく? ちょっと大変かもしれないけど」
「ルトガーが行くなら、私も行く」
「じゃあ一緒に行こう」
ルトガーが手を取り、二人は歩き始めた。
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