君という作家を見つけて

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「プロセス? それはどんな?」 「一緒に苦難を乗り越えたり、助け合ったり、すれ違ったり」 「この危機を作家と編集者二人で解決していくというシナリオですね」 「ん……? まあ、そのシナリオに乗りましょう。これまでのストーリーで、伏線として残されたアイテムを考えてみて」 「伏線ですか……今手元にあるのは、ノートPCとフラペオーレくらいですかね」 「妄筆獣の弱点は?」 「煙草をたくさん吸っているでしょう? あれは編集者と作家のイメージなんですけど、とにかくストレスを発散させる嗜好品が大好きなんです。そうだ、たぶん高カロリーなフラペオーレには釣られるはずです」 「よし、私がフラペオーレで(おび)き寄せる。その間に君は意外な展開で奴を倒す方法を編み出しなさい」 「わかりました!」  私は瓦礫と化したビル街の大通りに出ると、妄筆獣と対峙した。 「うわ、酒と煙草くっさ……。妄筆獣! これをご覧なさい、糖分たっぷりのフラペオーレよ」  妄筆獣はゆっくりと私を見下ろすとよだれを垂らして微笑み、大きなぶよぶよした足をドスンと振り落としてきた。 「きゃあ!」  咄嗟にその足を避けたけど爆風に(あお)られ、フラペオーレが吹き飛ばされてしまった。  コロコロと転がるフラペオーレを妄筆獣はヒョイと拾うと、ストローでチューと一気飲みした。  うげ、間接キス…… 「男子高生、何してるの。早くあいつを倒すストーリーを展開させて」
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