初めましてだいだら様 前編

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初めましてだいだら様 前編

こんにちは。小巻透(こまき とおる)と申します。 手始めに簡単ではございますが自己紹介も含めまして、少しナレーション調でお送りさせて頂ければと思います。 【時は、現代日本。デジタル化も進み、競馬新聞を買うお年寄りでさえコンビニで電子決済する時代。 (おじさん︰レジの兄さんや、〇〇ペイでお願いしたいんじゃが良いかの) (レジの人︰しゃっせぇー。ピッ。ありゃしたー) 中にはお年玉すら電子マネーなんて家庭すらあると聞く。まあそれはさておいて、これはそんな現代日本に暮らす極極フツーの高校生こと、わたくし小巻透の周辺でおこる出来事。そう極極フツーの。ただ、ただ一点のみを除いては。】 【小巻透こと小巻家は、先祖代々続く神社「山神神社」として地元では、心願成就のご利益でけっこう有名なパワースポットである。ここまでは別に、全国探せば神社の数だけそんな家庭事情はある訳で珍しくは無いでしょう。ここからが本題。】 【うちには、神様が居るんです。神社なんだから当たり前だろって? いやいや、違うんです。リアルに居るんですよ。】 【国造りの神様。だいだらぼっちが】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ここ山神神社は、その名にもあるように山の上にある。山と言うにはとても小さく小高い丘に近い大きさだ。 国道沿いの石階段、段数にして108段。計算されてかは知らないが、人間の煩悩の数だけの石段を上がるとそこに山神神社と神主の小巻家がある。 ミーーーーン。ミーーーーン。 神木にしがみつき鳴いてるセミの音がより夏だと実感させられる。 俺は、朝からTシャツ短パン姿でホウキ片手に石段付近の掃き掃除をしていた。 『暑い。もうこのくらいでいいか』 毎朝掃除しているかいあってか、そこまでちらかってる訳では無い、あると言えば落ち葉やセミの死骸がある程度だ。 「おーいおい。とおるや。しっかり掃き掃除せんか!」 『おっ。だいだら。おはよう。今日は早起きなんだな』 「おいこら。とおるや、しっかり様をつけろ様を!だいだら様と呼べと言っておるじゃろが!」 「ほれ。良く見よここなんか、むっ セミが転がっおるのぉ。むむぅ。コヤツらは死んでおるかと思って近寄るといきなり暴れ出す故、ワシは昔から苦手なんじゃ。」 『だいだら様、大丈夫だよ。死んだセミは脚が開いてて、まだ息のあるヤツは脚が閉じてるんだ。』 「なんじゃ、とおるにしては物知りじゃのぉ。」 だいだらは、感心した様に、両腕を組んで頷く。 「どれどれ。ほぉ〜。脚が開いとるの。」 だいだらは、セミに近寄るとその辺にあった木の枝でセミを突こうとしている。 (あ、逆だったかも・・・・・まぁいいか・・) 瞬間。ミンミンミーーーーン。 「きゃっ。」 セミが息を吹き返したように暴れ出し、だいだらの頭上めがけて飛んできた。 「きゃ。ぎゃあああーーーーーーー。」 運良くセミは、だいだらの頭上を通過して国道の方へと飛び去って行った。 「とおるの嘘つき〜〜〜〜!この人でなしーー!殺す気かーーーー!」 目に薄っすら涙を浮かべ、こちらを恨めしそうに睨んでいる。 そう。今眼の前で、半べそをかいている幼女こそ、我が山神神社の御神体にして国造りの神と称される、【だいだらぼっち】なのだ。 「このぉ。神殺しぃ!」
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