甕覗きの川

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 最期にまた、声が聴けたらいいのにと思いながら来た道を戻る。    橋から覗く川の色は甕覗き。  甕にはった水に空が映り込んだ色が由来だ。  叶うなら、藤子の元に連れていって欲しい。  そう願いながら、美しき激流に身を投げた。  甕覗き色に弾ける瞬間、  苦痛に歪む藤子の絶頂の顔が見えた気がした。
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