12人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで、悩んでるって思うの?」
「だって、先生がここに来るときって悩んでるときしかないですもの。」
藤子の声にはノイズがない。
内耳から脳に突き抜けリンリンと心地よく響く。
「藤子はあいかわらず賢しこいな。」
「まあ。先生からそんなことを言って頂けるなんて。」
両手を腰の後ろで組んで、嬉しそうに少し横揺れをしている。
髪は濡羽色のロング。
今は後ろで束ねている。
「どれくらい前から来ていたの?」
「そうね、二時間くらいになるかしら」
「そんなに前から居たのにずっと黙ってみていたの?」
「ええ、先生の思考のお邪魔をしちゃいけないと思って。」
最初のコメントを投稿しよう!