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「理子さん! 理子さん! 理子さんッ!」
泣き叫ぶ少女だけが、必死に腰にしがみつく。
と、不意に暴れる少女は、電源が切れたかのようにその場に座り込み、泣き叫んでいた少女の手を取った。
「理子さん……?」
泣き叫んでいた少女と、暴れていた少女は見つめ合う。二人の右手の小指には、二人の絆の証のように赤い宝石がはめ込まれたピンキーリングが輝いている。
そして、暴れていた少女は、その目に涙が浮かべて言うのだった。
「本当に、アナタとの時間は、幸せだったの……」
「理子さん……」
と、暴れていた少女の目に再び狂気が満ちる。それはまさに悪魔の形相だった。
同時に、泣き叫んでいた少女の全身には、耐えがたい激痛が走り、少女は悲鳴を上げた。
静まり返った教室。
生徒の椅子や机は、すでに綺麗に並び、整っている。
二人の少女は抱き合い、ただむせび泣いていた。
暴れていた少女の姿は何処にも無い。
泣き叫んでいた少女は、今は無言。唯一人立ち尽くし、血のような赤い夕日の中で、その右手を真っ赤な血に染めて、したたらせていた。赤いピンキーリングは、もうはめられてはいなかった。
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