1

1/1
前へ
/9ページ
次へ

1

   僕達は、同じ池で生まれた。  彼女の長く美しい黒髪ならぬ、黒い尾に、僕は一目惚れだった。 「たま美ちゃん、一緒に泳ご」  僕は、ことある毎に、たま美ちゃんに声を掛けるのだけど、 「お好きにどうぞ」  たま美ちゃんは、澄ました顔でそう言うと、ツ―と泳いでいってしまう。 「たま美ちゃん、待ってよー」  僕は、そんなたま美ちゃんの後を、いつも必死に追いかけて泳ぐのだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加