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そんなある日のこと、仲間達の大合唱が急に止んだ。
チャンスだ!
身体の小さな僕にとって、たま美ちゃんに声を届ける、最初で最後のチャンスだった。
僕は力を振り絞って、声の限りに、たま美ちゃんの名前を叫んだ。
「たーまー美ー、ちゃーーーん!」
僕の声が、静けさに包まれた夏の夜空に響き渡る。
その時だった。
ザザザザッ
草を掻き分けて何かが近付いてきた。
「たま美ちゃん?」
僕は、そっと尋ねた。
すると、黒く大きな影が迫り上がり、僕の目の前に立ち塞がった。
黄色く光る三白眼が舐めるように僕を見下ろす。
その口からは、二股に分かれた赤い舌が、チラチラと出入りしていた。
!!!
現れたのは、大きなアオダイショウだった。
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