祝日が終わる日

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僕は二人の愛する女性を幸せにしたいと思っている。みなみと冴子。タイプはまるで違うが僕の大切な人だ。 僕は普通に日常を過ごしている。 来週末は家族と過し、再来週はみなみと過ごす。 冴子は果たしてみなみに気づいているのだろうか。 今は何も言わないから気づいてないのかもしれない。 今日僕は残業をしている。事務仕事が片付かないからだ。フロアには人が消えた。少しずつ消えていき、最後に新人の女の子と僕だけが残った。 僕はそろそろ切り上げるつもりだったので新人に声をかけた。 「僕は帰るよ。君はどうする。フロア1人になってしまうけど。何か手伝おうか。」 「いえ、大丈夫です。私も帰ります。」 僕らは一緒に会社を出た。 「お腹空きませんか。」 「そうだね。何か食べていくかい。」 「はい。」 僕と新人は定食を出してくれる居酒屋に行った。 僕は焼き魚定食、彼女は、野菜炒め定食を頼んだ。 僕はお茶を飲み、彼女はビールを飲んだ。 会社のぐちとか、世間話をしながら食事をした。 彼女は良く頑張っている。きちんと考え、行動している。僕は彼女の成長を本当に喜んでいた。 定食屋を出ると、彼女はひどく酔っていてほおって帰るわけにもいかず僕は彼女の自宅までタクシーで見送ることにした。彼女は、僕の肩に頭を乗せ身を委ねてきた。僕は知らん顔をしていた。 マンションに着くと、彼女の自宅の玄関まで送った。彼女は僕にあがるように言ったが僕は帰りたいと伝えた。しかし、彼女は僕を玄関に入れ鍵を締めた。 「ごめんなさい。私、あなたのことがずっと好きでした。いつもいつも遠くから眺めていた。だから、今日二人きりになれて、とても嬉しかった。 」 「ごめん。僕は君の気持ちに答えることはない。 僕には家庭がある。だから、僕のことは忘れて。」 「部長は良いのですか。」 「なんのこと。」   「部長とあなたがキスをしていたところを私見たの。だから、部長は良いのと聞いたの。」 「僕とみなみがキスをしていたなんて、証拠はあるの。たぶんみなみの顔についてたゴミをはらっただけだと思うよ。」 「証拠はありません。でも私はあなたをあきらめません。」 彼女はそう言うと僕にキスをし、僕は開放された。 彼女のマンションを出た僕はモヤモヤした気持ちを処理できなかった。どうしたら彼女は僕をあきらめてくれるのだろう。僕は答えの出ない問いを自分に投げかけた。 翌日からは、新人の彼女の態度が変化した。何かに付けて僕に近づいた。それは誰から見てもわかる近づき方でみなみには露骨に嫌な態度をした。 みなみは様子を見るといったので僕は黙っていた。そんな僕を助けてくれたのは、花子さんだ。彼女が近づくとうまい具合に僕と彼女の間に入ってくれた。仕事ではこの技術は活かせていないのが残念だが今の僕は花子さんに救われた。 しかし外回りのときはどうしようもなかった。社用スマホに何度も連絡をしてくるし、道で僕を待っていたりすることがあった。流石にひどくなって来たので、みなみに相談した。みなみは一度話をしようと、会議室に当事者の僕と、彼女を呼んだ。 「花木さん最近何だか仕事に集中していないんじゃない。」 「私はいつも通りです。」 「社用スマホの履歴を総務にプリントアウトしてもらったけど、私用としか思えない内容よ。」 「部長私は、彼が好きなんです。部長よりもずっと。だから彼を私にください。」 「くださいも何も私の所有者ではないわ。彼には家庭がある。」 「きれいごと言わないでください。キスしてたでしょう。」 「私たちは、していないわよ。あなた一度病院に行きなさい。だいぶ疲れているみたいね。」 彼女は、みなみを殴った。みなみは殴られても涼しい顔をしていた。僕は間に入った。 「あんたなんか死ねばいいのよ。」 彼女は会議室のイスを倒したり暴れ回った。そこに警備員が駆けつけてきた。彼女は警備員に両腕を捕まれ連れて行かれた。 「みなみ、大丈夫。」 「たいしたことないわ。それよりあの子大丈夫かしら。今から産業医に話を聞かれたぶんだけど、のちのち部署替えか退職をすることになると思うわ。」 彼女はその日早退をした。僕は総務課に事情を聞かれた。みなみが話を通してくれていたお陰でお咎めなしだった。 彼女は、みなみがやはり人事に掛け合いしばらく事務をしてもらうことになった。花子さんと一緒に働くようになり、最初は腐っていたけど花子さんの指導のもと仕事はこなしている。僕に対する気持ちは花子さんがやんわり解いてくれたらしく、僕は花子さんにケーキを奢らされた。花子さんは昔彼女と同じような経験をして自殺未遂までしてしまったらしくこじらせた人間を立ち直らせるのは、得意らしい。 僕は、自分の日頃の行いを改めようと思った。 しばらくは大人しく家族の元へ帰宅する。 帰宅する場所はいつも安心できる場所だから。
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