祝日が終わる日

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僕は朝帰りをした。甘い蜜を吸ったあとの日常は、 なんとも言えない香りを僕の鼻に届ける。 僕は玄関を開けて家の中に入った。 水を飲むために台所に行った。台所では、妻が料理をしていた。朝ごはんは、トーストにサラダ、ハムエッグだ。 「おかえりなさい。」 「ただいま。ちょっと酔ってしまった。」 「大丈夫。胃薬持って来るね。」 妻は胃薬と水を僕に手渡す。僕は妻への罪悪感を流すように水を一気に飲んだ。 「ほら、早くしないと学校間に合わないわよ。」 目の前でのんびりしている娘たちを学校に向かわせ洗濯物をしに洗濯機に向かって歩きはじめる妻。 本当に働き者だ。休む間もなく次々と仕事を片付けていく。 「ねぇ、今週の土曜日の予定どうなっている。」 「休日だからなにもないよ。」 「この子たちの運動会だから。」 「そうか、もうそんな時期か。」 子どもたちは今、小学2年と4年だ。それぞれ小学生として立派に成長している。運動会は、子どもの成長を確認することができる行事だ。 僕は、妻の作ってくれたハムエッグを頬張りながら 父の顔に戻っていく。  昨日僕とみなみは、ホテルに行った。 夜景が見えるホテル。ホテルの部屋に入って扉を閉めふたりは、キスをした。お互いがお互いを求め合うように深く深いキスをする。 妻とキスをしたのはいつだったろうか。 もう思い出せないくらい前だ。付き合ってる時も結婚したときも、毎日妻と結ばれていたというのに、子どもができ、年齢を重ねた僕は妻を抱かなくなった。嫌いになったわけではなく、体力的につらく、面倒になったのだ。 僕らはシャワーも浴びずに何度も何度もお互いを求めあった。彼女の声は子猫みたいに高かった。 いつもの冷静でどこを切り取っても乱れることのない彼女が今僕の目の前で乱れていく姿は、美しく愛おしかった。 僕は妻に送り出され会社に向った。 妻は昨日の事は何も聞かず、僕にシャワーを進め着替えを用意してくれて、弁当を持たせてくれた。 妻は変わらぬ日常を僕に提供してくれる安心感のある女性だ。 僕は満員電車に揺られ1時間かけて会社に行く。 今日はお客様回りだから、そのまま直帰になる。 僕は外回りの準備をした。 「おはよう。」 みなみが出勤してきた。いつもの完璧なみなみがそこにいた。僕はどんな顔をしてよいかわからなかったが、いつも通りに過ごした。 外回りの準備ができた頃、スマホがメールの受診を知らせた。僕は、社用スマホを確認したがそちらではなかった。プライベート用を確認すると、みなみからだった。 「昨日は楽しかった。ありがとう。 昨日の夜の続きができる日を楽しみにしているわ。」 僕は、自分の顔が赤くなっていないか心配だった。 今日の僕は順調に仕事をこなしていた。 成約した案件もあり努力が実ったことに喜びを感じた。僕は良い気分で会社に連絡をし直帰することにした。 まっすぐ帰る予定だったが、気分の良くなった僕は妻に連絡をし、飲みにでかけた。 ビールを注文し、一気に飲んだ。身体の中をアルコールが走る。しかし今日は気分が良い。 久々の成約だ。僕は酒が弱いのに料理とともに飲み続けた。みなみを誘おう。僕は不意にそう考えた。 酒の勢いもあり大胆になった僕はスマホを取り出す。 「みなみ、昨日の続きをしよう。」 「今どこ。」 みなみからのメールは位置を確認するものだった。 30分くらいするとみなみが僕の前に現れた。 僕は酔っていた。みなみは僕を店から連れ出しタクシーに乗せた。僕はみなみにされるがままに、タクシーで移動した。30分くらいタクシーに乗ってたどり着いた場所は家だった。 僕の家ではない。みなみの自宅だ。 みなみの旦那さんは単身赴任で海外にいるという。 目の前の大きな家にみなみは一人で住んでいるのだ。僕はリビングに通された。 清潔でおしゃれな部屋でまるでみなみそっくりだ。 みなみは僕に水のペットボトルを渡した。 僕は水を飲み酔いを覚ました。 「少し落ち着いたようね。」 キスをしようとした僕をみなみは拒否した。 「今日はこのまま自宅に帰りなさい。」 僕はみなみの自宅を出て自宅に帰った。 その夜久々に妻を抱いた。温かい妻のぬくもりは、心地よい。しかし僕の心は別の心地よさを求めていた。
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