祝日が終わる日

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僕は、充実した生活をしている。愛する家族と恋人と過ごす甘やかな生活は何もかもが美しく感じた。 僕はこの生活が長く続くなんて思っていない。 でもこの生活を自分の力でやめることはできない。 それほど居心地が良い。 あれから新人も成長した。彼女の指導者は変わっていない。しかし彼女は変わった。指導者とは別のやり方で足を使い頭を使い仕事をしている。成績はすこぶる良い訳では無いが悪くもない。きっといずれ努力が形になる時がくるだろう。 僕は今月過去最高な成績を残している。何か特別なことはなくたまたまクライアントのニーズが重なり売上に繋がったのだ。プライベートも順調だし本当に充実した生活をしている。 明日は休日だ。娘たちの夏休みだからグランピングの施設に行く。僕は帰宅し妻の旅行準備を手伝った。その時、僕のスマホに連絡が入った。 みなみからだ。 「明日の旅行楽しんで。さみしいけど我慢すわ。」 短い文章で送られてきたメールを眺め僕はため息をついた。みなみも一緒に楽しめたらどんなによいのだろう。僕は馬鹿なことを考えたと反省した。 ダブル不倫なんて良くない。良くない関係だから何もかも隠さなければ微妙なバランスを保ちながら営んでいる僕の生活は崩壊してしまう。 僕は今目の前にある冴子や子どもたちとの生活に集中した。 翌朝は早かった。朝5時に起き目的地まで運転をした。車の中ではみなすやすやと寝ていた。 僕らは目的地まで行き午前中は、施設にあるアスレチックを楽しんだ。午後は夕食までゆっくり過ごす事になり子どもと妻はまた施設内の自然を楽しみに行った。この施設は蛇口をひねると温泉が出た。 僕は風呂を沸かして入り昼寝をした。 だいぶ疲れていたのか、僕は夕食まで眠ってしまった。起きたときには家族が夕食の準備をしていた。 今日はバーベキューだ。僕は火をつけていく。 「ごめん。寝てしまったみたいだ。」 「疲れてたのね。きっと。あのね、私子どもたちと遊んでたらすごくきれいな人に出会って、友達になったのよ。でね、夕飯一緒に食べようって事になったのだけど良かったかしら。」 「うん。その人ひとりで来てたの。」 「そうみたい。自然を楽しみに東京から来たって言ってたわ。」 僕らが夕食の準備を続けているとインターホンが鳴った。冴子が部屋の扉を開けに行く。 「あなたいらしたわよ。それと飲み物や食材頂いたわ。」 僕は肉を焼いていた。お客様に目線をむけると、思わずトングを落としそうになった。 目の前に立っているお客様は、みなみだった。 みなみは花柄のワンピースを来て髪をアップにしている。僕はしばらく思考停止していた。 「あら。冴子さん私あなたの旦那様と知り合いのようよ。」 「えっ、うそでしょう。」 「本当に。大学の同期よ。こんなところで会うなんてびっくり。」 「おひさしぶり。」 久しぶりどころか昨日会社で一緒に仕事をしていたではないか。僕は何故かドキドキしながら肉を焼き続けた。それから僕らはバーベキューを楽しんだ。 子どもたちは好きなものばかりを食べ冴子に叱られた。冴子は、みなみと楽しそうに話している。 美容の話や、服の話。男の僕には、どうでも良いことを喋っては笑っている。僕は今の状況をぼんやりと眺めながめていた。本来交わることのない現実が目の前で混じっていく。コーヒーに落ちるミルクみたいに黒い闇に落ちる白い液体。やがて溶け合い調和していく。 僕らは夕食を終えたあと子どもたちは風呂に入りすぐに寝てしまった。僕は冴子を誘い一緒に風呂に入った。グランピング施設は透明な壁だから星空が美しい。冴子と僕は星を見ながら風呂を楽しんだ。 やがてベッドに入り愛しあう。 冴子は疲れていたのだろう。裸のまま寝てしまった。僕は昼寝をしたからか目が冴えていたのでもう一度風呂を楽しみ、施設にある星を楽しむラウンジに出かけた。ラウンジにはこの施設で見える星の写真が飾られており、自動販売機があり、本も置かれていた。木でできた建物の天井はガラス張りになっていて万華鏡を覗いたみたいに星が見える。 僕はぼんやりとお茶を飲みながら過ごした。 そこへみなみがやって来た。 「あら。」 みなみも眠れないから来たと言った。 「みなみ何でここに来たの。」 「あなたと、あなたの家族を見たかったから。」 「見ても面白くないだろう。普通の家庭だよ。」 「そうね。普通の家庭。でも素敵だわ。」 そういうと、みなみは僕にキスをした。 僕は妻がいるというのにみなみを受け止めた。 みなみの部屋に行き、みなみと愛し合い何事もなかったように冴子の元に戻る。 僕はいずれ罰を受けるだろう。こんな甘やかな生活は長く続かない。わかっているけれど、身体は反対の方向へと進んでいく。 翌朝僕らは牧場へ行き、1日楽しみ帰宅した。 みんな休日を満喫し楽しさの余韻に浸っていた。
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