夢を見たい。

2/2
前へ
/2ページ
次へ
朝、窓から差し込んだ日の光を浴びて。 セロトニンの幸福感。 目が覚めて、何気ない日常へと戻っていく。 焦げた食パンをかじって、歯を磨く。 外に出て、仕事へ向かって。 そしてまた、日々が終わっていく。 そう。 過ごしていても、ぼんやりと。 貴方のことが頭に過る。 「またね。」 ……なんて、あの日の言葉。 多分、叶うことなんてないだろう。 だから、夢を見たい。 貴方の隣で笑えるような。 まるで、初々しい恋人のような。 甘い夢を見たい。 痛々しい現実だけじゃ生きられない…… 下を向いて歩いて、考えていた。 あの日のままの私に…… 「……あっ!おーい!」 瞬間、響く声。 振り向いた先で、私は目を見張った。 「……また、会えたね。」 そこに、貴方がいた。 貴方との再会。 あまりにも現実味がない出来事だけど。 それでも、私にとっては事実だった。 「……そうだね。久しぶり。」 ……ああ、今度こそは。 この現実で、夢を見れるだろうか。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加