夢を見たい。

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外に出た。 雨空の下、傘を広げて。 けど。 別に外に出たくて、出た訳じゃなくて。 ふと、図書館へと足を運びたくなっただけだった。 雨の億劫さすら破った体は 寒さに震える。 (やっぱ外出るべきじゃなかったかもな……) そんな後悔を少しするけれど。 心地よい風の中で。 「……また、会えたね。」 後ろからの声に振り返る。 そこに、貴方がいた。 地元を離れて数年。 全く会っていなかった貴方は。 記憶よりも鮮やかで。 とても、綺麗に見えたから。 後悔がチクりと胸を刺す。 「あのっ……私、ずっと前から……」 「貴方に、伝えたいことが-----」 手を伸ばす。 伝えようとしたけど、伝えられなかった言葉。 何度も、私の心を救ってくれた人へ。 繋がった脈が途切れていく。 言葉を紡ぐ時も、君に触れる余裕もなかった。 目の前から、消えた。 「……ありがとう。」 「またね。」 一言、二言、声が聞こえて。 甘い香りだけを残して。 ----私は、夢から覚めていく。
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