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 チカリ、と視界の端が光った気がした。  不思議だった。今の私は顔を手で覆って大泣きしているのに。  光なんか見えるはずがないのに。  鼻を啜って目を擦る。  薄暗くて、いつもの病院の出入り口の風景しか見えない。  気のせいか。そう思った。  だって、そうでしょう?  光と共に夕香ちゃんの声が聞こえた気がするなんて。  それも、またね。だなんて。  なんだか胸騒ぎがして、私は病院の入り口に引き返した。  何故だろう。どんどん私の中の半分が青ざめていくような、そんな気がした。 「夕香!」  病室のフロアに出るとお母さんの悲痛な声が響いた。  頭が真っ白になって、病室に飛び込むように入る。  そこには、ベッドの縁に泣き崩れるお母さん、唇を噛み締めるお医者さん。  それから夕香ちゃんは、目を覚ますことは無かった。
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