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「じゃあ、またね」
そんな一言が言えたらよかったのに。
私はただ泣きじゃくるだけで、夕香ちゃんの眠った顔を見ることすら難しかった。
私たちは双子で、10年間いつも一緒だった。赤ちゃんの頃は黒子の位置を見ないと見分けられないほど見た目がそっくりだったらしい。
けれど、中身は全く違った。双子なのにどうしてこうも違うのだろうというくらい、違った。
勉強が得意でテストはいつも100点満点、本の虫の夕香ちゃん。
勉強は苦手で、スポーツが大好き。休日はサッカー三昧の私。
活発な私が日焼けをしたお陰で、皆んなは簡単に私達を見分ける事ができた。
もうすぐ小学4年生になる日が近づく、春休みのある夜。2段ベットの下にいた夕香ちゃんが頭が痛いと言った。最初は本の読み過ぎなのかも、なんて笑いながら言っていたのに、次第に頭を抱えてうずくまってしまった。
私は大声でお母さんを呼んだ。
それから、夕香ちゃんは入院をした。元々白かった肌が紙のように白くなっていた。
お医者さん達は、お父さん達に難しそうな話をしていた。お父さんは俯いて、お母さんは泣いて聞いていた。
私はこれが現実とは思えなかった。
それから私は毎日お見舞いに行った。徳を積めば夕香ちゃんの具合が良くなるかもと、お皿洗いを手伝ったり、学校の掃除の時間もキチンと掃除をした。夕香ちゃんがいつ学校に戻って来てもいいように授業も真面目に聴いた。
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