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キスだってこの前初めてしたばかりの俺にとって、いきなりのディープキスは刺激が強すぎた。 ただ、嫌というわけではない。 慣れない感触に戸惑いつつも、ぎこちなく自分の舌も彼のものに絡ませてみた。 すると、彼の舌の動きが一層深くなる。上手く呼吸が出来ず、思わず自分から唇を離した。 「は……っ、は、すみませ……」 咄嗟に謝ると、彼は親指で俺の口元を軽く拭い、申し訳なさそうな表情でこう答えた。 「俺の方こそごめん。我慢が効かなくなってしまって……」 さっき彼自身が言っていた〝自分は紳士じゃない〟というのはこういうことなのかもしれない。 だとしたら、なんというか凄く愛おしく感じる。 「速水さん、その…… もっと……」 大胆なことを言ってしまったと、発言の後でハッと気付いた。
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