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ーー…
「別れ話じゃなくて良かったです」
行為後、お互いに素肌をくっつけたままベッドの中で微睡みながらそう言うと、速水さんはきょとんとした顔を向けた。
「別れ話って?」
「前回会った時に、速水さんが〝これからのこと真剣に考えよう〟なんて言うから」
「それは、一緒に暮らすかどうか考えようって意味だったんだけど……」
「あの雰囲気でああ言われたら、マイナスの方に捉えちゃいますよ……」
「そ、そうだったのか。ごめん、心君と別れるなんて微塵も考えていなかったけど……」
慌てふためく速水さんを見て、俺は思わず吹き出してしまった。
「全然いいですよ。ていうか慌ててる速水さん、可愛い」
「可愛い? 俺が?」
「普段クールなのに、たまにそうじゃないところが可愛いです」
「えー? それは何だかかっこ悪い気がする」
「かっこ悪くないです。……愛おしいです」
さっきまで散々恥ずかしいことをシていたからか、恥ずかしい台詞がポンと出てきてしまった。
まあ結局、言ってから自分自身が照れてしまって、俺は彼の胸の中で顔を埋めた。
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