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ーー… 数日後ーー。 今日の夜、速水さんと会う約束をした。 明日はちょうど金曜日。時間を気にせずゆっくり話せるはず……。 「ただいま、心君」 「お、お邪魔してます」 例のストーカー事件の時のまま、合鍵は俺が預かっていた。 これから別れ話をするかもしれない状況ではあるが、〝先に家で待ってて〟と速水さんから言われたので、合鍵を使ってお邪魔させてもらっていた。 「お、お仕事お疲れ様です。ご飯、簡単な物ですけど作ってあるので、どうぞ」 「ありがとう! 心君はもう食べた?」 「は、はい」 「って、もうこんな時間だし、そりゃそうか。もし良かったら、俺が食べてる間にお風呂入ってて?」 「あ……いえ、ここにいてもいいですか?」 もしかしたらだけど、今日が彼と過ごせる最後の時間かもしれない……なんて考えたら、今は一分一秒でも長く一緒にいたい。 「はは、もちろんだよ。一緒にいよう」 「はい……」 それにしても、速水さんは大分いつも通りだな? でも油断は出来ない。彼の中では〝別れる〟という答えが固まっているからこそ、この笑顔かもしれない……?
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