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「うん、美味しい」
その後、俺が用意したご飯を言葉通り美味しそうに食べてくれる彼は、やっぱり普段通りと何ら変わらないように見える。
それはそれで、いつ別れ話が来るかもしれないと思うと怖いな……。
「ねえ、心君」
いつの間にかご飯を食べ終えていた速水さんから、真っ直ぐに見つめられながら名前を呼ばれる。
「は、はい。何でしょう?」
「後で大事な話があるんだ」
「……っ」
やっぱり、別れ話⁉︎
「後でって、いつ……」
「寝る前とか……? 落ち着いて話したいから」
「……」
相当改まった話じゃん……。
でも、今日は彼とちゃんと向き合うって決めたんだ。
彼の話を聞いて、自分の気持ちも伝えたい。
それでもし、最悪な結果になったとしても……
後悔だけはしないようにしたい……。
「わ、分かりました! じゃあ俺、洗い物するので先に風呂入ってきちゃってください!」
「あ、一緒に入ろうよ」
「はい⁉︎」
これから別れ話するのに一緒に風呂⁉︎
「い、いいから早く入ってきてください! こっちも心の準備しておきますから!」
「え? う、うん……じゃあ入ってくる……」
速水さんがダイニングを後にし、一人になった空間で俺はいったん深呼吸した。
ちゃんと、覚悟を決めておかなきゃ……。
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