8.

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「うん、美味しい」 その後、俺が用意したご飯を言葉通り美味しそうに食べてくれる彼は、やっぱり普段通りと何ら変わらないように見える。 それはそれで、いつ別れ話が来るかもしれないと思うと怖いな……。 「ねえ、心君」 いつの間にかご飯を食べ終えていた速水さんから、真っ直ぐに見つめられながら名前を呼ばれる。 「は、はい。何でしょう?」 「後で大事な話があるんだ」 「……っ」 やっぱり、別れ話⁉︎ 「後でって、いつ……」 「寝る前とか……? 落ち着いて話したいから」 「……」 相当改まった話じゃん……。 でも、今日は彼とちゃんと向き合うって決めたんだ。 彼の話を聞いて、自分の気持ちも伝えたい。 それでもし、最悪な結果になったとしても…… 後悔だけはしないようにしたい……。 「わ、分かりました! じゃあ俺、洗い物するので先に風呂入ってきちゃってください!」 「あ、一緒に入ろうよ」 「はい⁉︎」 これから別れ話するのに一緒に風呂⁉︎ 「い、いいから早く入ってきてください! こっちも心の準備しておきますから!」 「え? う、うん……じゃあ入ってくる……」 速水さんがダイニングを後にし、一人になった空間で俺はいったん深呼吸した。 ちゃんと、覚悟を決めておかなきゃ……。
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