1.出会い

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1.出会い

これは桜がどこか遠くへ過ぎ去り、深緑が生い茂る真夏の頃のお話。 宮崎で特に有名な縁結びの神社〈青島神社〉 そこの御神木の下で、「あっくん」こと僕は自転車に括り付けた紙芝居台の横に立ち、話に耳を傾けてくれる小さな聴衆たちへ話を届けていた。 蝉の鳴き声さえも吸い込む静けさの中、僕の声は肌を撫でる優しい風に乗せられ、神社奥の雑木林にも響いている 数十分が経ち、話が終わると聴衆たちは人数に合わないほどの大きな拍手をくれた。 僕は、最初に紙芝居をしたときの大きな拍手が嬉しくて今もこうして皆の前で夢物語を披露しているのだ。 話が終わると、聴衆は今日の感想をいいながら、次の目的地へと歩を進める。 僕は、一人ひとりの笑い声や、感想に耳を澄まし、心のなかでガッツポーズをする。 人が少なくなり、僕も帰ろうかと片付けていると、一人の女の子が神社の賽銭箱の前にある階段に腰掛けていた。 女の子は、白いワンピースに麦わら帽子という普通の格好なのだが、容姿はというと普通ではなかった。 ここらではあまり見ない金髪ロングに白肌、青眼 そして人形のように整った顔 僕は、時々紙芝居が終わってから残ってる人に感想を聞くようにしている もっともっとみんなの心に残る物語を作るために 僕は、女の子から少し離れたところに腰掛け質問をした。 「見かけないけどどこら辺の子?」 僕は何気ない質問のつもりだったが当の女の子は突然の質問に驚いた顔をして、口を開いていた。 「都会から来たの?」 聞き方を変えると、「う、うん!」とさっきとは打って変わって食い気味に返事をした。 隠し事に気付かれないように 「君、僕が見えるんだね、、、初めて会ったよ」 (僕が見える?どういうことだ?) 「僕が見えるって今まで君はみんなから見れなかったの?」 自分でもなんで質問してるかわからなくなるほど現実離れした質問に、彼女は頷きながらゆっくり間を取り、返事をした。 「そう、だって私は  だもん」 大事な部分は、大きくて強い風に攫われていった。
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