5.古い記憶

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5.古い記憶

宮崎を離れて早50年、 専属運転手が運転する黒いセダンの後部座席 ルーフに打ち付ける雨音を聞きながら、僕はもう掠れかけた小さな大切の記憶を思い出していた。 「あの日も雨だったな、、、」 窓の外をゆっくりと流れていく都会の町並みを横目で見ながら、僕はある目的地へと向かっていた。 〈グランドプリンスホテル新高輪「国際館パミール」〉 毎年、日本アカデミー賞という映画監督なら誰でも憧れる優秀な映画作品に送られる式典が行われる場所だ。 受賞したという喜びが溢れすぎて寝ることはできないが、昔のことを思い出そうと、そっと目を閉じ過去を思い出していた。
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