6.上京

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6.上京

僕は、親に連れられ東京に来た。 宮崎の皆にもう会えないという悲しい思いを無理やり奥に押しやり、宮崎と全く違う景色に胸を高鳴らせていた。 慣れない都会に、慣れない制服 何もかもが初めての生活は疲れたが、その疲れは悲しい思い出をかき消してくれた。 でも、いくらかき消してもヒコちゃんとの約束は、頭から消えなかった。 僕は約束を守るべく、 映画監督の育成学校に通い、 有名映画企業に務め、 そして映画監督となった。 初めは不評でも好評でもなかったが、 監督として世間に知られるようになった時、 僕は完全オリジナルの作品を作り始めた。 題名は「離れた君に贈ることば」 内容は、僕とヒコちゃんの過去。 話を作ることが好きな僕が映画を作ると約束し、 東京に行った僕が、約束を守るために奮闘し 2人で再開の末、泣きながら僕作の映画を見るという話 撮影は2年もの月日を要し、やっと完成した。 DCPに映像を残し、公開記念式典をした。 映画は絶好評で、興行収入も堂々の一位を記録し、有名映画に上り詰めた。 そして現在、アカデミー賞受賞へと至ったのである。
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