遺恨

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─28─ 「先生、凜華から聞きました」 「何をだい?」  神野は既に、目に涙を浮かべている。 「先生から聞いたって……。私が先生を……誘惑したって。違いますよね? 何かの間違いですよね?」  神野は下を向き、声を殺し、泣いていた。涙が、次々と床に落ちていく。 「──はあ。ほんと使えねえな、凜華」 「え……」  一瞬、赤井俊介に、悪魔のシルエットが重なった。   声は低く、見たもの全てを凍らせてしまうほどの、冷たい目。 「桃花が悪いんだよ。お前がいつまでも陽太を忘れようとしないから。うちの生徒はみんな俺のことが好きなのに、お前だけは陽太。おかしいだろ、そんなの。あのキャンプの日、お前も俺のことが好きだと言っていれば、お前も陽太も、そして、凜華もこんなことにはならなかったのにな」  「ひどい……どうしてそんな……。私が誰を好きになろうが、先生には関係ないじゃない!」 「うるさいな……大きな声を出すんじゃないよ」  そう言うと、赤井俊介は倉庫の鍵を閉めた。それと同時に、現実の世界でもドアに鍵がかかった。 「な、なにをするんですか……」  神野は後退りし、足元に置いてあるマットにつまずき、仰向けに倒れた。 「たまらないんだよ、桃花……。初めて見た時から、お前の虜だった。その大きな瞳、小さな口、白くて柔らかそうな肌。そして、零れそうな大きな胸。お前は俺を誘惑したんだよ、体全体でな」  赤井俊介は、神野に覆いかぶさり、一気にワイシャツを引き裂いた。その勢いでボタンが四方に飛び散る。  神野は必死に抵抗するも、その小さな体では、大人の男に到底敵わない。 「思った通りだ……。俺を楽しませてくれよな……」  幼さが残るその顔に、大きな果実を実らせた体……。赤井俊介は、食事を前に、じっくりと眺める。 「先生! 先生! やめて!」  抵抗する神野の手が、赤井俊介の首筋を引っ搔いた。  爪で引っ掻かれ、首筋から血が滴り落ちている。しかし、そんなことはおかまいなしといった様子だった。 「い、いい……。ああ……もっと呼んでくれ、俺を」 「お願い、こんなことやめて!」  抵抗し、泣き叫ぶ神野に、興奮が増したように赤井俊介は、自分の欲望そのままに体を貪り続けているようだった。  次第に神野は泣き疲れ、静かに涙を零し、ただ時が過ぎるのを待っているようだった。 「こんないい体、誰にも渡したくない。お前……まだだよな?」  何も返事をしない神野に、不安を感じたのか確認する。 「お前、陽太と……」 「そんなわけないでしょ……」 「よし、いい子だ」  赤井俊介はそう言うと、神野の頬を優しく撫でた。神野は小刻みに震えている。 「これからお前は、俺のものになるんだ。嬉しいだろ?」  神野は再び、泣き叫びだした。 「い、痛い……痛い! やめて!」 「凜華はすでに、男を知っていたからな。淫乱女め。あの女と同じだ。だが、お前は違う……。特別だ」  赤井俊介は、満足するまで何度も果てた。  思う存分堪能した赤井俊介は、神野を優しく抱きしめ、耳元で告げた……。 「桃花、またな……」  生気を失った神野の瞳から、もう、涙が流れることはなかった──。  
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