優一

2/5
前へ
/19ページ
次へ
 だけど付き合い始めて二年を過ぎた頃、俺は少しだけ、自分がしている事は本当に正しいのかわからなくなってきた。  彼女はよく泣く。そして、怒る。  俺が彼女を特別だと思っていない、と。  別に私なんていなくてもいいんだ、と。  それは俺が大好きな友だちとよく遊びに行くからだ。  もっと彼女の事を見なきゃと思い、彼女を知ろうとするけど、それでも彼女は泣き止まない。  そんなに彼女が苦しむのは、全部自分のせい。  そう思い始めた。  だから俺はいつか彼女から離れなきゃと、身を引かなきゃと、そう自分に言い聞かせてきた。  だけど俺はそれからもずるずると付き合いを続けた。彼女に約束した、『一生大切にする』という言葉を言い訳にして、俺は彼女から離れなかった。相変わらずみんなは別れた方がいいと言うのに、相変わらず俺は彼女を泣かせるのに、それでも俺は自分のために付き合いを続けていた。  そしようやく別れを決意できたのは卒業というタイミングだった。でも俺はその後自分の行いを強く後悔することとなった。俺が別れを言うと、彼女は酷く泣き叫んだのだ。  このままだと苦しむだけだよ。  幸せになってね。  泣き続ける彼女に俺はそんな薄っぺらい台詞を浴びせていた。  ついに走り去ってしまった彼女を追いかけそうにもなった。  俺だってずっと一緒にいたいよ。  その言葉を必死で胸の奥に封じ込めながら、俺は彼女の背に謝り続けていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加