2人が本棚に入れています
本棚に追加
「...何でもない。」
「何、気になるじゃん。」
苦しかったあの日の思い出話がしたい訳じゃない。
本当はあの時の気持ちを思い出したくもない。
「何でもないってば。」
ムッとして言い返すと、彼は驚いてごめんと謝った。
これで何度目だろう。その言葉を聞くのは。
久しぶりに聞いたその『ごめん』も、廃れることのない私の記憶に積もった。
本当の事を言えば、彼が私をふった時言った最後の言葉のお陰で私は変れた。初めはその意味も理解出来ず、私から離れた彼を酷く憎んだ。
だけど今ではもうわかる。
だから私はここにいる。
最初のコメントを投稿しよう!