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「美蘭ちゃんが、好きなタイプは?」
「……は?」
「美蘭ちゃんの方が好きなのは、どんな?」
研ちゃんの眼鏡に光が反射したように見えた。やめろ、私を追いつめるな。
「それは……」
「口ごもるなんて、美蘭ちゃんらしくない」
「……好きなタイプからは、好かれないから、言っても意味ない」
「言うだけはタダじゃん」
そうだけど。
タダっていうのは、お金では買えないってことなんだよ。いっそお金を払って手に入るならよかったのに。手に入るなら、喜んで課金するのに。
「……話してて楽しくて、目標に向かって一生懸命打ち込んでる人」
少しごまかしてしまったけれど、嘘じゃない。私には生涯かけて打ちこんでいるものなんてないから、研究者の父と兄がいつもまぶしかった。私には何もないけど、せめてがんばってる人をサポートできたらと思ったんだ。
「だから見合い相手、研究者がよかったんだ?」
「……うん」
「俺じゃ駄目?」
「……え」
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