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三昼夜をかけ、紅悠を乗せた馬車は龍族の王宮へと到着した。
宮殿の前に降り立った瞬間、その豪華絢爛な佇まいに目が眩むようだった。金と朱を基調とした、狐族の王宮より遥かに巨大で美しい城。城門へと続く階段は、さながら天上界への入り口だ。
紅悠は龍族皇帝への挨拶を済ませるなり、早速馬車へと案内され、伴侶となる青年が治める村へと向かうこととなった。
七つの王家、即ち七つの一族を持つ龍族の国内には、大小様々な村が存在し、それらを統治するため王族が首長として配置されているらしい。
紅悠を乗せた馬車は王都を離れ、やがて周りの景色は自然豊かな田舎町へと移ろっていく。小さな集落の最奥に姿を現した古い屋敷の前で、馬車はゆっくりと停車した。
御者が馬車の扉を開けると、紅悠はひとつ、息を吐く。
この先で待つ、紅悠の結婚相手とは。
一体、どんな人物なのだろう。
先導する龍族王宮の使者の後を、静かについて歩き。
紅悠の目の前で、屋敷の扉が開かれた。
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