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雪視点
気づくと、僕はピアノの前に立っていた。
久しぶりに本物のピアノを触った。
最近はずっと機械に音を打ち込んで、るみに頼まれた曲ばかりを作っていたから。
るみ『雪〜?ピアノ〜、弾かないの〜?』
雪(何にするか迷っちゃって。)
ん〜。そういえばまだ、作った曲を実際に弾いてないな。じゃあ、今日は作った曲を弾こうかな。
僕は一度鍵盤に指をおいた後、曲を弾き始めた。
♬〜
歌詞がまだ決まっていないこの曲は、たくさん曲を作ってもまだ、不安そうなるみのために作った、【明るい未来】を題材にした曲だ。
やっぱりピアノを弾くのは、楽しいな。るみと白以外に聞かせられるほど、上手じゃない...ガタン...け......ど。............え。
僕は慌てて振り向くと、扉が少し開いていた。
雪(......ど、どうしよう。誰かに見られちゃったよー。)
るみ『ま、まあまあ、雪、落ち着いて。何かが落ちた音かもしれない。』
白『るみ、お前も落ち着け。いつものタラタラした感じが抜けてんぞ。だいたい、ここには落ちるようなものなんてねえんだから、誰かいたってことだろ。』
雪(ど、どう、どうしよう。言いふらされたりとか、されちゃうのかな。)
るみ『お、落ち着いてるよ〜。...雪、大丈夫だよ〜。チャラ男の俺が〜、ピアノを楽しそ〜うに弾いてたっておかしくないよ〜。...多分。』
白『…俺が昔みてぇに、脅してやろうか?それとも、記憶がなくなるまで殴るか?』
雪(そ、それは...。)
るみ『白が暴れたら〜、アイツラに見つかっちゃうかもしれないからだめ〜。大丈夫だよ〜、俺がうまく誤魔化すからさ〜。でも〜、ここでピアノ弾くのはもう今日で終わりね〜。また〜、見つかったらめんどうなことになりそうだし〜。...それじゃあ、変わろっか〜。』
カチッ。
主導権がるみに変わる音がした。
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