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ノアははーっと盛大にため息をついて、肩まで伸びた黒髪をサラツヤッと揺らし、部屋の中に転がっていた(捨てられていた?)椅子に腰かける。
「……ついにそんな需要と大きさが反比例した誰の役にもたたない粗大ごみを……」
「ふぁんびれ? 尾びれと胸びれがついた私のファンのことかな?」
「博士のファンになるほど頭のねじぶっ飛んだ人なら、ほんとにヒレをつけてそうで怖いです。ファンがこの宇宙に一人でも存在するかどうかは別として」
「いるだろ、探せば百人くらいは。私は天才博士なんだから」
「もしそうなったら私は助手を辞めて出家して悟りを開いて、博士のファンが百人も存在するような世の中の存在意義を探します。そして間違った世界を正します」
「そんなに!?」
ノア~、ひどいよぉ~、とべそをかきながら段ボールの裏からのそのそ出てきて、優雅に座るノアにすがりつくⅤ。
ノアはそれをぺっとひっぺがす。
「私に甘えないでください。大至急そのアタマオ・カシイオトダシ・チャウイラ・ナイソダイゴミーを解体して片付けること。あといつものことなのでうっかり慣れてましたが、部屋をまず綺麗にする! 研究室研究室といいながら、実質ここ博士の寝室兼ネカフェじゃないですか」
「ノアの目はどうかしちゃったのかい? ここはちゃんと健全な研究室だよ」
Ⅴの抗議の視線を受け、ノアはもし口先に風船があれば一瞬で膨らみそうな量のため息を出す。
「……訂正します。さすがにそんなこと言うのは失礼でしたね、寝室とネカフェに対して」
「ノアの基準がおかしい!」
「おかしいのは博士のほうだと思います。私は常識人枠です」
とてつもない美少女かつ素手で壁をぶち破るノアは実際のところあまり常識人でもないのだが、残念ながらツッコミの才がないVはその言葉をスルーする。
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